損益を決するのはなにか?
株価指数は堅調、個別物色も徐々に範囲が広がってきました。
個人投資家全体としては、これまでの上げに意外と乗れていない、時間の経過とともに弱気論がますます活発化……私も当然に警戒の目を強めていますが、あえて買い目線を継続してマーケットを観察してみました。
銘柄固定の定点観測によって、相場を第三者の目で見てみる──毎月第1週「超」相場解説の大切なテーマです。
映像は、「YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」」でご覧ください。
押し目終了? 下値不安はもうないのか ~新年度相場の投資戦略~
資金稼働率とポジションサイズ
個別銘柄の物色は、かなり広範囲におよんでいます。
そんな状況下、あえて買い目線を継続──こんな前提で番組をお届けしました。
多くの人が「さらに上がる銘柄を当てる」というイメージをもつでしょうが、タイムマシンでもないかぎりムリです。この難題を軽減するのは、資金稼働率とポジションサイズの調整しかありません。
テニスでサーブを受ける相手方のプレーヤーは、ボールが左右どちらに来ても対応できるよう、体を左右に動かしながら待ちます。同じ状況を、相場にも当てはめて行動したいのです。
例えば「上がるかどうかピンとこない」銘柄でも、つい「逃したら悔しい」という感情だけで手をつけたりします。不安のほうが大きいのに「これはいける」という確信があるかのように、脳内のイメージをすり替えてしまう心理です。
「全体が下げる可能性もあるが、あえて買い目線」という状況では、個々のポジションサイズを抑える、資金稼働率を抑える、「やはりイケる!」となって買いポジションを積み増しても限度がある……こんなふうに対応するのが正解です。
多くの投資家は、資金稼働率が高すぎます。
番組で紹介している「中源線建玉法」では、「目いっぱい張ったときでも資金の半分未満しか稼働させない」のがルールです。
「資金稼働率50%が限度なんて、消極的すぎる」と考える向きは多いのですが、これくらいの基準が適正なのです。
仮に「ここは攻めだ!」とグイグイいくときでも、資金稼働率が一時的に60%~70%(現金ポジションが30%~40%)くらいが限界でしょう。「どちらにでも動ける」状態を維持するなら、余裕資金を大きくして資金稼働率は20%~30%、あるいはそれ以下にするべきです。
横河ブリッジは上昇するか
定点観測銘柄のひとつ、横河ブリッジHD(5911)は、私自身が売買している銘柄です。
ここ1年の動きを見ると、ムダな転換はないものの、少し値幅のある保合、しっかりとしたトレンドが発生しない動きがつづいています。
2020年12月から現在まで買い線(赤)が継続していますが、現時点で少し評価損という状態です。
これについて「上がるんじゃないの?」なんて、かるいノリでポジショントークを披露してしまいましたが、「上がらないとタイヘン」という状況ではありません。
中源線のルールに従って全体の資金管理をしているうえに、ここしばらくは売りも買いもポジションサイズを抑えています。売り買いの転換時にルールどおり1単位(総量の3分の1)を建てても、動きがピンとこなければ損益を気にせずに切って、ポジションなしの状態にするなど、「逃したらイヤだ」なんて気持ちを増幅させる前に対応します。
予測を的中させる──プレーヤーとして切に望むことですが、「そんなことは実現しない」という前提で行動を決めないと、どこかで大ケガをしてしまいます。
「中源線建玉法」には、こうした実用的な考え方が最初から盛り込まれているのですが、そのツールを使う自分が同調してやらないと、一貫した行動を取ることができません。
保合が多い
現在の個別銘柄について、「保合が多い」とコメントしました。
保合、すなわち“どっちつかずの往来”のあとは、なにが起こるでしょうか。
実践的には、「どちらかに放れる」と考えます。
では、上下どちらに放れるのか──まさに、それがわかったら苦労はないのです。そこで、サーブを待つテニスプレーヤーのように構えておくのです。
「当てる」のではなく「初動に乗る」のがプレーヤーとして大切にすべき事柄です。これは次週、4月12日の放送テーマでもあるのですが、相場の核心といってもいいでしょう。
「中源線建玉法」には、こうした実践論を“からだで納得する”ための要素がすべて盛り込まれています。本格的に利用しないまでも、いちど私の本を読んでみてください。有益な発見があるはずです。
来週4月12日は、テーマ別の番組、「初動を逃すな! ~切り返しに素早く反応する技術~」というタイトルでお送りします。お楽しみに!
2020年12月新刊