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連載「相場のこころ トレードの本質」その31
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毎日、多くの銘柄が上がったり下がったり、ガンガン変動しています。
「目の前にカネが落ちているようなもの」と感じてしまいます。
株式市場で最大の錯覚です。
前回、「強弱論争は不毛」という、実践者の考え方を示しました。
一般的な議論として「上がるか下がるか」を考えると答えが出ないだけで、特定の考え方で「売り」「買い」の答えは出せます。
ところが、なんらかの判断基準で「売り」「買い」を決めても、なかなか当たらない。実際は、当たったり外れたりなのですが、「当たらねぇよ~」という気分になります。
世界中で自分ひとりがダメな売買をしている……そんな気分になるのですが、これも単なる錯覚。
負けてばかりいる、例えば8割、9割の確率で曲がるのならば、売り買いを逆にするだけで大儲けできます。
なにを持ち出しても、だいたい五分と五分、これが現実です。
だから、強弱を議論しても意味がないし、「銘柄診断」という万人に共通の答えを出そうとする試みは成り立たないのです。
特定の考え方で「売り」「買い」の答えを出すのは、「診断」ではなく「判断」です。
予測が当たったときの対処、見込み違いの対処、それぞれの対応を準備した実践的かつ流動的な決め打ちです。
人間なので、錯覚はいくらでもあります。
ムリに抗うより、錯覚があることを知って行動を整えるのが実践です。
最近読んだ本で面白かったのは、『錯覚の法則』(西田文郎著)。
「成功は脳をだました人に訪れ、失敗は脳にだまされた人に訪れる」
(オビの言葉から)
「正しいと思っていることの99%が錯覚」というドッキリする説明で、私たちの心の働きと実践的な取り組み方を示してくれています。
怪しげな予測法に目を向けるよりも、こういった本で元気になるべきです。
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