逆張りとナンピンの意味 | 林知之


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「ナンピンはするべきか否か」という議論を目にすることがあります。
この場合のナンピンとは、例えば、300円で買ったら200円まで下げて動かなくなった場合に、同株数の増し玉によって平均を250円まで下げようか……こんな対応が正解かどうか、という意味のようです。

商店街で小物を売る店を営んでいる、と想像してください。

売れると思って仕入れた商品が売れない。世間でも同じように売れていない。だから、問屋からの仕入値も下がっている。
「よし、在庫を増やそう!」
上記のナンピン買い増しは、これと同じです。

正しい発想は、「売れる商品に目をつけ、高くてもいいから仕入れる」です。
勢いのあるうちは積極的に商品を仕入れ、がっつり儲けるのが商売の王道でしょう。

この正しい発想をトレードに当てはめると、一般的な分類ならば、「逆張り」よりも「順張り」なのでしょう。

上げの流れについていく、強いものにつく、という素直な感覚です。
いつ動くかわからない銘柄ではなく、すでに動意づいている銘柄にうまく乗るほうがラクです。

「中源線建玉法」は、銘柄を選別する手法ではなく“銘柄を固定して売り買いのタイミングを計る”手法ですが、根底にあるのは「流れについていく」という考え方です。

では、「逆張り」で「ナンピン買い下がる」とは、いったいどういう行動か──。
実は、上げ始めたことを確認して買い始める中源線でも、安値に近づくにつれて買い下がる玉の入れ方でも、「上げの流れにつく」という狙いそのものは全く同じです。

両者は、買い始めるタイミングが異なるだけ、と説明するのが正しいかもしれません。

逆張りによる買い下がりとは、少し先に訪れる上げ波動を想定し、「そろそろ底だ」と判断してから買い始める方法で、平均値を有利にしようとする高等テクニックです。

これに対して、先ほど否定した「200円で同株数を増し玉」という対応は、「見込み違いで下げた。下げる場面で何もできなかった。いっそ、予定外に買い増ししようか……」ということです。何もかもが異なり、多くの実践家が“やられナンピン”と呼んで否定します。

ナンピンは「難平」と書き、「難を平らにする」ことです。
基本的な考え方は、分割によって平均値を有利にすることです。言い換えると、「一点狙いでリスクを膨らませないようにする」“安全運転”指向なのです。

300円で買ったら200円になった……この時点で、持っているのはダメな玉です。
遠慮なく表現すれば、死に玉、クソ玉です。
それを増やしてしまっては、難を平らにするどころか難を増加させてしまいますね。

林投資研究所の定期刊行物『研究部会報』には、「相場師インタビュー」を連載しています。一家言ある実践家に話を聞き、彼らの内面をのぞき見しようという企画です。以前これに登場したシステムトレーダー照沼佳夫氏は、トレードでポジションを取ることについて、実に面白い表現をしました。

順張りと逆張りについて、照沼氏と私が意見交換する部分を紹介します。

照沼氏
「手仕舞いとドテンを前提にシステムトレードで臨むと、必然的に順張りになると考えています。少なくとも『安く買って高く売る』は大きな誤りですよ」


「強い銘柄を、高くてもいいから買い、さらに高値で売る、ということですよね?」

照沼氏
「それでは、まだ“弱い”と思いますね。高く買って、さらに高値で買い乗せるんですよ」

もちろん、やみくもに買い乗せするわけはありません。きちんとリスクを管理したうえでポジションを操作します。しかし彼は、「ヘタなナンピン、スカンピン」といわれる“やられナンピン”と真逆の感覚を大切にしているのです。

逆張り、そしてナンピン買い下がり──。
やや職人的な読みで「このあたりが底値だ」との確信をベースに、ものすごく慎重に、そして計画的に分割で買っていくことです。

これに対して、「底割れしたから買い増し」は計画外の無謀な行為です。
また、「とにかく買い下がらなくちゃ」とばかりに早いタイミングで買い始めた場合は、逆張りではなく「逆行するポジション」を保有してしまうことになります。

オススメは、「下げ止まったな」と感じてから、慎重に押し目を拾っていくことです。だから、中源線のロジック(強弱判断と分割売買)が多くの人に有効なのです。

上手に買い下がるといった高度なワザは、その次の段階で考えればいいと思うのです。


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