相場観がジャマをする? | 林知之


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社会に出て仕事をするうえで文系も理系もないと思うのですが、思考の傾向というのはあるようで、例えば料理のレシピに「塩ひとつまみ」とあると、理系の人は「それは何グラムですか?」なんて聞くそうです。
そんな思考プロセスの人を対象にした料理本が、売れているとかいないとか。

トレードは、未知の未来に対してポジションを取る行為です。
しかし予測は当たらない、いや「当たったり外れたりする」ので、当たったときにねばり、ダメなときは早く切って損失を抑えるよう戦略を立てます。

とはいえ、やはり「当てたい」と考えるのが私たちトレーダーの性(さが)。
ムチャな行動は慎むとしても、「当てよう」という感情丸出しの姿勢こそが、トレードに対する創造性を支えるエネルギーにほかなりません。

トレードシステムでは、値動きへの対応を事前にすべて決めておきます。
必然的に、「最大公約数的」なルールに傾きます。

この部分に、生身の人間は不満をもちます。
「システムが正解だった」ケースが多かったとしても、「自分の相場観のほうが正しかった」ケースを重視して、システムの答えに裁量を加えようとするのです。実はごく自然な行動ですが、プレーヤーとして適切、かつ創造性のある対応なのか、単なる気まぐれなのか、区別がつかないこともしばしばあるので困ってしまいます。

拙著『億を稼ぐトレーダーたち』に登場するコテコテのシステムトレーダー柳葉輝氏は、堂々とした態度で自分の相場観を捨てて成功しています。
いわく、「人間は創造性を持っています。だから、相場で損をする」。

対する私は、感覚派の人間です。
数字にこだわることは好きなのですが、自分の感覚と合致しない数値には拒絶反応を起こします。人間の目に“見える”ものしか認めたくありません。

機械的に判断するトレード手法「中源線建玉法」について、実際にポジションを取りながら実験を続けていますが、自分なりの解釈を基に、堂々とした態度で裁量を入れたいと、ムズムズし始めています。

値動きへの新しい対応を思いついたら、検証を経てルール化する──これがシステムトレードの基本ですが、私は「システムと裁量の融合」、つまり、その場で感じた対応策、しかし適正かつ後悔しない答えを追加したいのです。

ある意味、“イバラの道”ですが、多くの人が目指すところではないでしょうか。

今月発行の『研究部会報』5月号に掲載する「中源線実践リポート」は、こんな深い部分をテーマにしました。お楽しみに!


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研究部会報
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中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

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