量や大きさを感覚で捉える | 林知之


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地震の規模を表す“マグニチュード”という単位があります。
「地震が発するエネルギー」ってことなのですが、数字が「1」増加すると規模は31.62倍、「2」増加で1,000倍、わずか「0.2」のちがいがエネルギーで2倍の差だというのですから、地震速報で数字を聞いても全くピンときません。
私は、「強い」とか「やや強い」という形容詞を見ています。
でも、「震度」という単位は経験上、体感と一致しますね。

相場では、とかく予測に関心が集まります。
当たるか外れるかで正反対の結果になるのですから当然ですが、感情によって気持ちが偏ってしまうもので、「儲け話がころがっているわけないよなぁ……」と思いつつも、「いい銘柄ない?」なんてオトナが言ってしまうのが現実です。

実際の行動も、どこか“オトナ度”が低くなりがちです。
ちゃんと説明を聞いたのに、頭に残っているのは「銘柄名」だけだったり、何か買いたくてウズウズして、「予測の背景なんていいから銘柄だけ教えて」なんてハッキリと言う人までいます。

短絡的になればなるほど、ポジションの閉じ方を想像できなくなります。
「期待通りに上がったねえ。だけど、どこで売ればいいの?」とか、「下げちゃった……投げるべきか! そもそも買った理由は何だっけ?」といった具合になるでしょう。

林投資研究所では中源線建玉法による分析結果を「シグナル配信」として公表していますが、中身を知らずに売り買いのシグナルを見ていたら、「当たった、外れた」と一喜一憂するだけになってしまうので、完全公開している中源線のロジックをセミナーあるいは学習DVDで説明しています。

トレードシステムで、中身のロジックが全くわからない状況は望ましくないと考えています。利用価値のあるツールというのは、トレードを経験しながら自分なりのカタチを模索していけるものだと考えています。
意味がわかる、次第に感覚と結びつく、だからこそ実用性が生まれるのです。

整理して条件を示すと、(1)基準が明確である、(2)同じ基準を継続的に使う、の2つでしょう。数字と感覚を一致させ、自分にとっての“見える化”を図ることが不可欠なのです。

車の燃費について「リッター15km」と聞けば良い悪いを評価できますが、アメリカ人は「ガロン」と「マイル」じゃないと数字の“大きさ”を想像できないでしょう。

学問とは遠い身近な数字でも、同じものを継続的に使って慣れないと、実用性が生まれることはありません。
理論と感覚をうまく結びつけないと、実用に耐えないわけです。


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研究部会報
 林投資研究所で40年以上続いている、プレーヤーのための定期刊行物。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

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