━━━━━━━━━━━ Seminar on Trading ━━━━━━━━━━━
殿堂入りメールマガジン:「相場はあなたの夢をかなえる」
☆無料版(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000031054.html☆
「生き残りのディーリング」の著者による経済と相場の解説(折に触れて)
★有料版(\840税込:購読登録):http://www.mag2.com/m/0001111340.html★
まぐまぐ大賞2016:資産運用(予想的中!)第1位(毎週月曜日)
━━━━━━━━━━━━【 Dealer's WEB 】━━━━━━━━━━━━━
・iPad、iPhoneでお読みの方は、上部アドレスバーにある[リーダー]をクリックすると、読みやすくなります。
☆上からの革命
「革命と改革の違いは何?」と、チャットGPTに聞いてみた。
(以下がその回答)
「革命」と「改革」は、どちらも社会や制度を変えることを意味しますが、変化の性質や規模、方法に大きな違いがあります。
・革命(かくめい)
定義:社会の根本的な構造を急激に、時には暴力的に変えること。
目的:政治体制や経済の仕組みなど、土台からの変革。
方法:しばしば暴動や戦争、政権の転覆などを伴う。
例:
フランス革命(王政の廃止 → 共和国へ)
ロシア革命(帝政の終焉 → 社会主義国家へ)
明治維新(江戸幕府の終焉 → 近代国家へ)
・改革(かいかく)
定義:既存の制度や仕組みを徐々に改善・修正すること。
目的:現状の枠組みは維持しながら、効率化や公平性などを高める。
方法:法律の改正や制度の見直しなど、比較的穏やかな手段。
例:
郵政改革(日本の郵便事業の民営化)
教育改革(カリキュラムの見直しや試験制度の変更)
・イメージで違いを見ると…
革命:木を根こそぎ引き抜いて新しい木を植える
改革:木を剪定(せんてい)して、よりよく育てる
(AIの回答ここまで)
米国の政治で言えば、「チェンジ」と唱えて登場したオバマ元大統領が行ったのは「改革」で、「MAGA(偉大な米国の復活)」を唱えるトランプ大統領が行いつつあるのは「革命」だ。
改革は「既存の制度や仕組みを徐々に改善・修正すること」なのに対し、革命は「社会の根本的な構造を急激に、時には暴力的に変えること」なので、既存勢力からの反発が比較にならないほどに大きい。既存勢力の中で居場所を得てきた識者やメディアなどは革命勢力を一斉に攻撃する。その一例をご紹介しよう。
日経新聞に「米国は中国に依存し過ぎているので、中国相手に戦ってもゲームから降りざるをえない」とする、英フィナンシャル・タイムズの署名記事があった。物語風に書いていて、冗長なので要約して以下に引用する。
(引用ここから、URLまで)
米著名投資家のビル・アックマン氏は9日、トランプ氏が同日に発動したばかりの相互関税の上乗せ部分をわずか13時間余りで、一部の国・地域に対しては90日間停止すると発表したことを「実に鮮やかな一手、(中略)まさに(トランプ氏が書いた)アート・オブ・ザ・ディール、教科書通りだ」と称賛した。
筆者にはトランプ氏が中国と戦っている「関税ポーカーゲーム」で、本人が考えているよりはるかに弱い手札しか持っていないようにみえる。
トランプ氏と米政権で通商問題を扱う重鎮らは当初、中国は米国との関税戦争では自動的に不利な立場に置かれるという前提に立っていた。
ベッセント米財務長官は8日、中国は「(ポーカーで最も弱い手札に近い)『2のペア』で勝負しているようなものだ。(中略)米国の中国への輸出量は、中国の米国への輸出量の5分の1にすぎない。つまり、彼らこそ不利な状況にある」と主張した。
トランプ氏とベッセント氏の主張に見られるロジックの誤りは、米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長が9日、米外交誌フォーリン・アフェアーズへの寄稿で明快に説明した。ポーゼン氏が指摘するように、中国の対米輸出量が米国の対中輸出量より圧倒的に多いという事実は、中国に交渉上の優位性をもたらす要因であって、弱点などではない。
米国は慈善事業で中国から製品を買っているのではない。中国製品を欲しているからだ。つまり、これらの製品が大きく値上がりしたり、店頭から消えたりすれば、困るのは米国人だ。
米国で販売されているスマホの半分以上は米アップルの「iPhone」で、その80%は中国で生産されている。この価格が2倍以上に跳ね上がれば、米国の人々は強い不満を訴えるだろう。トランプ氏にとっての「解放の日」は、人々のスマホからの解放を意味したものではなかったはずだ。
だが、これらの品目だけが特別なわけではない。世界のエアコンの約80%は中国製であり、米国が輸入する扇風機の4分の3も中国製だからだ。米国が輸入する人形や自転車の75%も中国製だ。
これらすべてを米国で生産できるだろうか。ぎりぎり作れるかもしれない。だが新工場の建設には時間がかかるうえ、そこで生産される最終製品はさらに高価なものになるだろう。
こうした状況下で中国は待ちの戦術を取る余裕がある。だが中国政府がもし強気に出ると決断したら、その場合、彼らは極めて強力な手段を繰り出すことができる。
中国は、米消費者が必要とする抗生物質の原材料のほぼ50%を製造している。米空軍の主力戦闘機F35の製造には、中国産のレアアース(希土類)が必要だ。また、中国の米国債保有額は米国以外では日本に次いで2番目に多く、市場が緊張状態にある今、これは重要な意味を持つ可能性がある。
トランプ政権が米国内で入手が困難になっても誰も困らないような輸入品目を見つけても、それで勝負の流れを一変させるような打撃を中国に与えられるはずもない。今の習氏にはトランプ氏との対話に応じる必要もない。
中国の輸出先全体からみれば米国市場は14%に過ぎない。在中国EU商工会議所のヨルグ・ワトケ前会頭は、米国の関税は「不都合だが中国経済を脅かすものではない。(中略)中国の経済規模は14兆~15兆ドルあり、対米輸出はそのうちの5500億ドルにすぎない」と指摘する。
米政権は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に対話をするために電話してくるよう哀れにも何度も呼びかけている。だがトランプ氏が慌てて後退している今、習氏に話し合いに応じるメリットはないし、ましてや慈悲を請う動機もない。
加えて権威主義体制は、特に中国共産党により厳格に統制されている中国の場合、経済的混乱がすぐ政治的圧力に変わる米国より、政治的、経済的な苦難にある期間、直面しても耐えられるだけの力が備わっている。
習氏が重大なミスを犯す可能性は十分ある。新型コロナウイルス禍への対応がまさにそうだった。だが中国は貿易を巡る米国との対決に長年備えてきており、あらゆる選択肢を考え抜いている。対照的に、米政権は行き当たりばったりで、その場しのぎの対応を取っている。
トランプ氏は、自ら勝ち目のない状況を作り出したのだ。彼は早晩、このゲームから降りざるをえないだろう。これこそがトランプ氏が出版した「アート・オブ・ザ・ディール」の交渉術なのか――。
By Gideon Rachman
(2025年4月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
参照:[FT]トランプ氏より強い習氏の「手札」 中国は備え万全
原文はもっと長いこの記事の要点は1つで、「米国は中国に依存し過ぎているので、中国相手に戦ってもゲームから降りざるをえない」というものだ。そして、勝ち目のない戦いに挑んでいるトランプ政権を嘲笑している。
この記事にある事実は概ね正しい。中国経済は世界最速とも言えるスピードで急成長し、2012年には世界第2位の経済規模となり、今では多くの識者たちが、第1位であるはずの米国でさえ「勝ち目のない相手」だと見なすところにまで来た。
しかしその急成長は、識者が中国を「無双の存在」と見なすようになった今でも「新興市場国」扱いで、先進国には要求されてきた「責任と負担」から逃れてきたところからももたらされている。私見では、こうした中国の急成長はこれまでの米政策の果実の1つでもある。
米国が少なくとも2011年まで中国を最優遇してきた主な理由は、1、巨大な消費市場の魅力。2、安価な労働力。3、自国経済を脅かしつつあった日本経済への牽制だ。
日本はと言えば、資金と技術を提供することで中国経済を育てた一方で、米国からの外圧で自国経済の成長が止められた。中国が急成長した一方で、日本の国際競争力が1位から38位にまで急落したのは、こうした米政策のミラクルだとも言えるのだ。そして「ノーと言える日本」に変われるどころか、感謝する日本に変えられた。
では、仮に中国が米国にとってさえ「勝ち目のない相手」になっているとして、そこまで米国が「過度に依存」してきたトレンドを変えようとすることは嘲笑に値することなのだろうか? 「今の習氏にはトランプ氏との対話に応じる必要もない」ほどまで、他国に過度に依存する経済が健全なのだろうか?
グローバル化の恩恵を最も受けてきたのは中国経済だ。トランプ政権はそうしたグローバル化に疑問を呈し、グローバル化に取り残されてきた多くの生粋の米国人の声を汲み上げているとも言えるのだ。
一方で、中国は「中国共産党により厳格に統制され、政治的、経済的な苦難にある期間、直面しても耐えられるだけの力が備わっている」ことに加え、他国からの干渉を当局が排除できるのに対し、米国は事実上資金力で政策が変えられる民主主義体制であるが故に、構造的な弱さを抱えている。それに対するトランプ政権の答えが、「改革ではなく、革命」なのだとも言える。
革命家や独裁者は、見方によれば時代の要請によって出現してきた。トランプ政権が行っている第二次世界大戦後体制(グローバル化)の破壊は、時代の要請なのかも知れない。
もっとも、トランプ革命が日本のメリットになるとは限らない。過去の革命においても、革命後の社会が良くなったかどうかには疑問の余地がある。革命家や独裁者の多くの本質は破壊者だからだ。
とはいえ、米ソ冷戦崩壊後のグローバル化の中でほぼ唯一成長を止めたのが日本経済であったことを鑑みれば、日本がトランプ革命を過度に恐れる必要はないのではないか? 日本はグローバル化でもダメ、その崩壊でもダメになるとは思いたくない。
・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Paperback)
・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Kindle Edition)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム: グラフで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、ペーパーバック版)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム・65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、Kindle Edition)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム問題集・日本経済の病巣を明らかにするための57問(著者:矢口 新、Kindle Edition)
---------------------- Seminar on Trading ---------------------
毎日、数行! マーケット情報で学ぶ経済英語!
☆無料(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000142830.html☆
一週間のまとめはブログでも読めます:https://ameblo.jp/dealersweb-inc/
------------------------【 Dealer's WEB 】-----------------------
☆【投資の学校プレミアム】
☆「矢口新の短期トレード教室」
転換点を見極め、利益を残す方法を学ぶ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?c=9784775991541