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☆インドネシアがBRICSに正式加盟した意味
2025年初、インドネシアがBRICSに正式加盟した。24年初にはエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦が参加したため、参加国はこれまでのメンバー、BRICS名前順にブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカと合わせて10カ国となった。
先週には石破首相がインドネシアを訪問し、中国の影響力が拡大する中、海洋安全保障・技術移転などの分野での防衛関係強化を目指していると述べていた。
2023年の総会で24年からの参加を表明していたアルゼンチンとサウジアラビアは、アルゼンチンのミレイ新大統領が、中国が参加している同盟には加わらないと離脱。保留中だったサウジアラビアは、トランプ米次期大統領がBRICSに加盟すれば100%の関税をかけると脅したことで、凍結したと報道された。
また別の報道では、ロシアが勧誘していた9カ国のうち、サウジアラビアとトルコは説得できなかったとされた。
このことは、2022年2月に始まったウクライナ戦争後に、米国はロシアを孤立させるべく各国に制裁を呼びかけたが、一方で、当然のことながらロシアは友好国の拡大を図っていたことを示している。ロシアは同時期に北朝鮮との同盟関係も強化した。
ウクライナ戦争後にBRICSの仲間、インドと中国はむしろロシアとの連携を強めた。インドは一方で日米豪との軍事同盟4カ国戦略対話(クワッド)にも参加している。また、米主導の軍事同盟NATOの加盟国であるトルコも公然とロシアとの貿易を拡大した。今回はインドネシアも対中国で日本と連携していくと約束しながら、BRICSに正式加盟した。これらは敵味方を天秤にかけるコウモリ外交なのだろうか?
子供達には誰とでも仲良くしろ暴力はいけないと教えながら、国家間では敵味方をはっきりさせろ、最後に頼れるものは武力だけだとマッチョぶるのだろうか? それで最も大きな被害を受けるのは、子供たちではないだろうか? 山火事よるロサンゼルスの映像は悲惨だが、戦争になればもっと大規模にあのような映像が日常となる。
とはいえ、米国が最大のライバルと見なす中国と制裁中のロシア、バランス外交を続けるインドが主導するBRICSに、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦、そしてインドネシアが加わったことの意味は大きい。
BRICSは一応「途上国」の括りだ。一方で、G7は「先進国」の括りとなっている。この括りは、今や一部を除き「人口成長途上」の国々と、「減少先進国」の括りともなっている。
現状でも人口の多さでは、BRICSは順に、世界7位、9位、1位、2位、24位で、新たに加盟した5カ国は人口順に、インドネシア4位、エチオピア10位、エジプト14位、イラン17位、UAE95位となっている。UAEは人口こそ少ないが、中東での政治的、経済的な存在感は大きい。
一方、G7は多い順に米国3位、日本12位、ドイツ19位、英国22位、フランス23位、イタリア25位、カナダ38位で、7カ国全部合わせても2位中国の約半分しかない。
大差がある現状の規模だけでなく、労働力が増加中のBRICSに対し、G7の労働力は減少中だ。このことは、G7は労働生産性を大きく高め続けない限り、いずれ経済力でBRICSに追い抜かれることを意味している。とはいえ、この点でもBRICSは侮れない。つまり、時間の問題で、経済力はもとより、政治力や軍事力においても、BRICSが世界の支配的なグループになることを示唆している。
その危機感からか、トランプ前政権時代の米国はロシアや北朝鮮にアプローチすることで、BRICSの分断を図っていた。しかし、バイデン政権はウクライナ戦争をロシア制裁に利用したことで、逆にBRICSを強化してしまった。(人道面は口実だ。でなければ米国のイスラエル支援は矛盾する)。
ロシア制裁ではまた、G7の経済力、政治力が弱体化した。私見では、バイデン政権は米史上最悪の大統領の1人で、世界をより不安定にした。それを米国民が感じていなければ、問題児であることが明らかなトランプ氏の圧勝はなかったのではないか?
オバマ政権を継いだトランプ前政権時代と、バイデン政権を継ぐ次期政権は時代が違う。BRICSは分断どころか、5カ国から10カ国に拡大した。中ロ分断、中朝分断も、あるいはロ朝分断ももはや望めない。G7諸国はいずれも政権が交代し、孤立を始めているのはG7の方なのだ。
とはいえ、G7の力はまだ強大で、米国は最強国だ。そんな中での「パナマとグリーンランドは戦略的に重要だ。武力行使の可能性も否定しない」というトランプ発言は危機感の表れではないか。
パナマ運河は太平洋と大西洋を繋ぎ、テキサス州やミシシッピ川からの物流が集まるメキシコ湾岸と日本などを繋いでいる米貿易の大動脈だ。
Geminiによれば、「パナマ共和国政府は、近年、中国との関係を強化しており、経済協力やインフラ整備において中国の投資を積極的に誘致しています。
経済協力の強化:パナマ運河の拡張工事など、大規模なインフラプロジェクトに中国企業が参画し、経済的な結びつきが深まっています。
自由貿易協定交渉:両国は自由貿易協定(FTA)の交渉を進めており、貿易・投資のさらなる拡大を目指しています。
一帯一路構想への参加:パナマは、中国が提唱する一帯一路構想に積極的に参加しており、中国との経済連携を強化する姿勢を見せています。」となっている。
一方、グリーンランドはワシントンとモスクワの間に位置する軍事上の要地である上に、北極海航路が実用化されれば経済的な要地ともなる。加えて、レアメタルが抱負で、既に開発中のオーストラリアの鉱山会社の大株主は中国なのだ。
デンマークではグリーンランドは守れない。パナマでも民主主義的な対応では、国家主導の攻勢には立ち向かえない。トランプ発言はそうしたことを示唆している。単なる思い付きの発言ではなく、そうなっても驚くことができない事情があるとも言えるのだ。
一方で、BRICSを主導してきたロシアはウクライナ戦争で疲弊し、中国経済は国家主導の弊害が顕著となってきた。また、随所で一帯一路構想のほころびが見え始めている。世界はどこにも安定が見えなくなってきていると言える。
とはいえ、国際化、米国主導の安定した経済成長の中で、日本だけは30年以上も停滞してきた。このことは安定の見えない変化の時代を悪い方にだけ捉える必要がないことを示唆している。また、G7では日本だけがアジアの国である一方で、BRICS10カ国には親日国も多い。日本の未来を考えるならば、バランス外交が最も望ましいのではないか? 難しくても、それが政治というものだろう。
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