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☆ウクライナ戦争、ロシア苦戦の一因はトップダウン体制のため?

2022年2月下旬から始まったウクライナ戦争は、2024年8月初旬になって新たな展開を見せるようになった。それまで防戦一方だったウクライナが、ロシア国内への反撃に転じたのだ。

フォーブスの今週の人気記事トップ5は以下の通りだった。

No1、ウクライナのクルスク侵攻、宣伝戦でもロシアに痛撃 歴史的大失態を隠しきれず
No2、ウクライナ軍の侵攻部隊、10日で装甲車両45両失う 異例の損失ペース
No3、ウクライナのクルスク侵攻に海兵隊部隊も参加 投降2度の大隊、名誉挽回なるか 
No4、ウクライナ、クルスク州の支配地域2倍に拡大へ布石 川の主要な橋すべて破壊 
No5、Gmailユーザー注意、アドレス内の「ピリオド」がプライバシーを危険にさらす 


経済力、軍事力、人的資源で圧倒的に劣勢なウクライナが攻勢に転じることができた理由はいくつか考えられる。

長引く戦争で消耗していくロシアの軍備に対して、米欧日が支援しているウクライナの軍備は実質的に無尽蔵であること。

NATO軍の訓練により、ウクライナ軍の戦闘力が増していること。それに伴い、2024年2月にはザルジニー、ウクライナ軍総司令官が解任された。後任は当然のことながら、よりNATO軍の作戦指令に従順な軍のトップだと思われる。

これらにより、開戦前から見られていた、ウクライナを舞台にした実質的な「米ロ戦争」との様相がますます強まった。


一方で、ロシア側の弱点も見られている。

ウクライナが侵攻したロシアのクルスク州では、2024年春にロシア陸軍参謀長のラピン大将が、国境を守る力と資源は軍だけにあると語り、同州の防衛を任務とする省庁間機関を解散させた。そして、実戦経験のない小規模な徴集兵部隊を配備した。

米紙によれば、ウクライナ軍の侵攻を受ける数日前、ラピン司令部はモスクワの本部に対し、ウクライナ軍が前線で部隊を増強していると警告した。しかし、本部はそれを心理戦の戦術だとして警告を聞き入れなかった。

そのため。ウクライナ軍が同国内の無人地帯に進入した際にロシア側の抵抗は一切なく、ロシア領内に入っても、進撃が阻まれることはなかった。

また、ウクライナ軍が電子妨害電波を使って通信を不能にしたため、ロシア軍は司令官と連絡が取れなくなった。軽武装のロシア兵は前線後方で身動きが取れなくなり、森の中に散らばっていった。局地的な抵抗があったものの、数百人のロシア兵(その多くは徴集兵)がすぐに降伏した。

「ロシアの計画は全て上層部から降りてくるため、変化の速い予期せぬ出来事への対応力は著しく低い。指揮を執る者が現場にいない」と、言われている。

また、ロシア国内の治安を担当する内務省や連邦保安局などの治安機関と、ウクライナで戦闘を担当する国防省の間で主導権争いが生じている。そのため、「誰が責任者なのかはっきりしない」とされているのだ。これは、日本が敗戦に至った主因の1つだとされる現場軽視や責任所在の曖昧さが、ロシアにも見られていることを示唆している。これが中央集権の弊害だ。


社会集団が最も効率的に運営され、強力な防衛力を発揮する例として、ミツバチのコロニーがある。コロニーと呼ばれるのは、1匹の女王バチ、少数の雄バチ、膨大な数の雌の働きバチからなる階層がある集団だからだ。

しかし、これはトップダウンの支配構造ではない。単なる役割分担なのだ。女王バチは働きバチたちの上に君臨し、養われてはいるが、自ら巣を作った後はそこに留まり1日2000個もの卵を産み続けることだけに専念する。雄バチたちは専らその繁殖に協力するだけだ。

そして、働きバチたちがコロニー運営のすべてを行う。若い働きバチたちはコロニー内部の維持運営、年齢(日齢)がいくと、外敵からの防衛を含む外働きだ。また、ミツバチのコロニー防衛には、針とそれに付属する毒の入った内臓を相手の体内に残すために自分も死ぬという自己犠牲を伴うが、働きバチたちはそれを自分の意志判断で行う。

コロニーのトップは巣を作り、雄バチや働きバチたちを産み続ける女王バチだが、コロニーのすべての運営は働きバチたちに任せている。トップが次に判断することは、時期が来れば次世代の女王バチを産み、今のコロニーをその娘に託して、巣替わりすることだけだ。その新しい巣作りに適した場所は、働きバチたちが見つけ、集団で吟味検討した後で決められる。トップは現場の判断に従い、集団で新天地に移動する。


人体の外敵からの防衛、免疫機能も脳ではなく、現場で行われている。これもトップダウン体制では外敵と戦えないことを示している。

 

 


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