【マーケット】”Truth” or "Bluff" ? | しがないディーラー

スマホにトランプ大統領のソーシャルメディア”Truth Social"を嫌々入れました。
ここまでトランプ大統領の言動で市場が大きく動いてしまうと、少しでも早くチェックしないといけないと思ったので遅まきながら。
”Bluff  Social"とすら思っていたSNSなので、絶対に入れたくないと思ってましたし、ほかのニュースソースでどうせ流れるから、と思っていましたが、あまりに影響が大きくなりすぎているのでしかたなく…。


ここまで世界が、経済が、市場が一人の人間の判断に振り回される様は自分も初めて見ました。
(これまでの)常識では予測が難しい人物の言動です。
よくも悪くも彼は歴史に名を残すのは間違いないでしょうね。

関税自体にもツッコミどころ満載でしたが、まさか発動してから一定時間が経過してから90日の猶予を設けると言ってみたり…。一度フェイク?リーク?が出た内容を実際にやるにしても、せめて発動直前だろうと。これでは税関の現場の皆さんも大変だったでしょうね…。企業側もその間に税関かけられたものと、そうでないものが出てくるわけで。
言うのは簡単だけど、現場はエライこっちゃだったと思います。

それに振り回される企業も、市場もエライこっちゃですが…。


個人的にはトランプ大統領はどうにも好きにはなれない方でしたが、彼の主張にも理がない訳ではないとは思っていました。
かつての冷静時代からずっと米国は西側諸国のリーダーとしての地位にあり、軍事だけではなく、様々な面で世界をリードしてきました。
第二次世界大戦で最も激しく戦った相手国であった日本ですら、米国への恨みどころか、アジアにおいては最も親い存在ともいえる関係にまでなっていました。

尊敬もされ、信頼もされ、依存もされてきたのがこれまでの米国だったと感じています。

確かにトランプ大統領の言う通り、そこには各国、世界的な組織の米国への甘えや依存はあったのだと思います。
米国の負担が非常に大きく、不均衡が存在し続けた。

米国自体も多額の債務を抱えており、”綺麗ごと”だけでお金(雇用)をばら撒き続けることへの不満や反発もあったのでしょう。そういった不満が高まり、トランプ大統領を生み出した。

この不均衡を是正する、という意味では、その主張に理解できるところもあるのですが…。
やり方や言い方ですね、自分はどうにも好きになれない。

”ビジネス”や”交渉”には時として”Bluff”も必要なのかもしれません。
でもそこには”誠意”や相手への”敬意”がなければ長い付き合いはできない。
圧倒的強者であれば、弱者を”Bluff”で従わせることもできるでしょうが、そうではない場合、相手の理解がなければ物事は変えられない。それを力づくでやろうとすれば、失うものはあまりにも大きい。

これまでの世界の在り方、米国という存在の立ち位置を変えるには、相当な力技も必要かもしれません。
しかし、あまりにも強者の論理、強引というよりも横暴とすら感じる振る舞いややり方。
イチ企業ならいざ知らず、世界最大の国家の大統領ですからね。

時計の針を20年ぐらい一気に戻そうという動きに見えます。
米国が圧倒的な力を誇っていた20年前にやっていればできたことかもしれませんが…。
多くのグローバル企業はそれだけの時間をかけてサプライチェーンを構築し、商品の生産工程を最適化してきた。
それを一気に”関税”で変えてしまおう。
少なくともそれをもって相手国に交渉に応じることを強要し、自分たちの主張を通そうというのですから、そりゃ世界も経済も企業も市場もこうなりますよね…。

せめて”米国債務も多額に上っており、財政の健全化、国民負担の軽減も図らなければいけない。世界に資するために米国が多くの負担をしている現状は、米国民の税金や負担によって成り立っており、これを世界各国で分け合い、公平な形にしていきたい。理解と協力をお願いしたい。”という言い方にすれば、受け取り方も変わるとは思うんですけど。

それに甘えてきた各国も”時代の変化”を受け入れ、覚悟を決めるべき時期なのでしょうね。
我々は世界が大きく変容する様を見ているのかもしれません。
よくも悪くも歴史に歴史に刻まれる時期なのかもしれない。

言っていること、やっていることの方向性は間違えていないように思えても、その言動で相手の受け止め方は180度変わってしまう。なんかもったいないようにも思えます。


チーム内でも、熱烈なトランプ信者もいれば、自分のようにどうにも好きになれないという人間もいて、意見も結構分かれます。政治や宗教に関する主義主張は個々の自由だと思っているので、それは置いておいてマーケットの話をするわけですが、主義主張や好き嫌いは可能な限り排除して、バイアスのかかっていない目で市場や経済の行く末を見極めないといけない。

なんにせよトランプ大統領の次の行動や言動を予測するのは至難の業でしょう。
推測はできても、常識に縛られていると間違える。
関税率も想定外なら、90日の猶予も発効してから10数時間経過して発表するとかも想定外(予想で来ていた人はすごいです)。

大事なことは”予測が難しい”人物の言動に世界や市場が振り回されているのだという事実を受け入れ、”分からない”ことを自覚し、リスクを抑制していくことなのでしょう(下手するとご本人すら予測ができていない気がしています)。

確かに値幅も大きいし、当たれば大きいですが、はずれても大きいわけですし、確率の高い予測ができない前提に立てばムリするべき局面ではないことは明らかです。紙一重で天国と地獄になる。つい勝負にいきたくなるのも分かりますし、損を取り返したいという気持ちも理解できます。しかし、予測困難な状況でリスクを取り続ければ、いずれ追い込まれることになる。一人の人間に振り回されるのは”アホらしい”という冷めた目線も必要かもしれません。いったんマーケットと距離を取り、俯瞰して、冷めた(冷静な)目線で市場を客観視してみる必要もあるでしょう。

値動きがある市場においては、短期トレードは有効かもしれません(夜の間に何が出るかわからないので日計り限定かもしれませんが)。それを得意としている人にとっては”チャンス”かもしれませんね。



あまり政治的なことについてコメントするのはしないようにしてきたつもりですが、あまりに政治が市場を振り回しているので今回は自分の主観に基づいてコメントしました。異なる意見を排除したり、否定するものではありません。ご自身の意見と合わない面がある方もいらっしゃるとは思いますが、ご理解いただければ幸いです。



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