【マーケット】本質的な問題 | しがないディーラー

「日本は貿易で米国を非常に不公平に扱ってきた。われわれの車は受け入れないのに、われわれは日本車を何百万台も受け入れている」

日米首脳電話会談、石破首相は日米双方の利益になる協力の在り方追求  @businessより 

トランプ大統領の言葉です。

”関税”を振りかざし、相手国への”公平な”立場を強要しようとするそのやり方に市場は大きく動揺しました。

世界が東西に分断されていた冷戦時代。
ソ連崩壊後、世界は分断からボーダーレスへと変化し続けてきた。
その中で多くの企業がサプライチェーンを世界へと拡大し、より人件費やコストの安い国へと生産拠点を移してきた。
輸送能力、技術の発展もそれを支えた。
その一方で、それは先進国からの技術流出や、産業の空洞化を生んだ一面もある。

”お金は高いところから低いところへと流れる”
結果として、経済的にはまだ未成熟であっても、人件費が安い国や地域にお金は流れ、それらの国の成長や発展を促してもきた。
その時計の針を一気に巻き戻そうという動きにも感じられるこの一連の関税政策。


米国はその中にあって、リーダー的存在であり続け、確かにトランプ大統領の言う通り、多くの負担も担ってきた。
確かに米国民の税金で、世界各国の様々な国や地域の発展や治安、平和を維持することまで期待されてきた面が大きい米国が、不満を言うのも理解はできます。

ただあまりにも乱暴で、強引、かつ一方的な主張ややり方が目に余る。
日本との交渉にあたってトランプ大統領が発した冒頭の言葉。


規制や関税によって米国製の車に不当な輸入制限をかけた?
意図的な円安誘導で米国メーカーに不利を強いるようなことをした?

それはないですよね。
円安は日本でも問題視されて、円買い介入すら行われてきたほどです。

米国製品が売れなかったのには理由がある。
テスラはそれでもちゃんと売れた(これまでは)じゃないですか。


先日、このブログでGoProやiRobot(お掃除ロボットルンバ)の現状を取り上げました。
中国メーカーが類似製品ですでにより高性能・高機能なものを生み出してきており、ユーザーから見ても魅力的な製品を作り出してきている。
「商品自体の競争力低下」
これこそが本質的な問題だと思うのです。


スマートフォンの世界でも、それがどんどん強まってきている気がしています。
折りたたみスマホは韓国Samsungは今年出すモデルですでに7世代目。
中国メーカーは後発にも関わらず、すでに3つ折りまで出してきており、ガジェット系に詳しい人ならば、最新のモデルの高性能振りには気づいているはずです。

日本人が大好きなiPhoneもクックがトップに立ってからは、基本性能の向上やカラーバリエーション、ちょっとしたマイナーな変更が多く、驚きや新鮮さは感じられない。新機種発表でいまだにiPhoneだけを取り上げている日本のニュース番組には違和感すら感じます。

GoProやiRobotの状況は、多くの企業にとって学ぶべき先例かもしれません。
ユーザー目線に立ち、高い製品競争力を維持しなければ、それぞれの製品の生みの親であってもいずれは追い込まれてしまう。

関税や為替の水準などは、それぞれの自国企業のサポートにはなるかもしれませんが、それを変更したからといって売れなかった製品が売れるようになるわけではない。
最終製品で魅力的なものを生み出していく力。
それこそが本質的な問題だと思うのです。


実際に、米国企業でもユーザーにとって魅力的なサービスを生み出し、時代を変革してきた多くの企業があります。
それがGAFAMでしょう。
そういった企業は世界でも評価され、株価もこれまで非常に高かった。


この”トランプ関税”がどう帰結していくのかは予測が難しいです。
下手すると、ご本人ですら、実際に発生している様々な動きに戸惑い、行きつく先を見据え切れていないかもしれない。
とんでもなく深く考察されていて、想定通りにことが動いている?というのはちょっと無理がある気がしています。
景気・経済や国民生活に与える影響も、様々な観点からレポートが出され始めてはいますが、関税の算出根拠すら首を傾げる状況です。
常識的なアナリストやエコノミストの予想の範囲外のことが今起きているようにも思えます。


しばらくは不確実性が高い状況が続くでしょうし、株価もリバウンドはあっても、大きな調整局面を迎える可能性もあります。

資産運用立国を標榜し、投資を促してきた中で、それが損失になり始めてしまった個人の方も少なくないと思います。

ただどういった期間で、どういったリターンを得る目的で行っている投資なのか?
いい機会なので、このタイミングで整理してみてはいかがでしょうか?

運用に”損失”はつきものです。
損したから慌てるのではなく、損することもあるのが運用や投資です。
誰も損はしたくはないでしょう。
でも想像もしていなかった損に慌てて行動してもいいことはありません。

短期間のリターンを目指す運用をしていて損になっているなら確かに困ったものですし、軌道修正も必要でしょう。
しかし、中長期のリターンを目的としているのなら、適切なリスク許容度の範囲ならば、あんまり慌てない方がいいように思います。

こういったときこそ投資や運用の本質を学ぶいい機会ではないでしょうか?


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私はシンガポールに拠点を構える運用会社(ヘッジファンド)であるYamawa Asset Managementの経営を担っています。
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