【トレード】成長する人、しない人② | しがないディーラー

タイトルの話に入る前に、そもそも運用の仕事に向いている人、向いていない人ってところに触れてみたいと思います。

こんな人にはお金預けたくないと思う人…ですね。

①自分で思考する力のない人(他人の意見を盲目的に受け止めてしまう人)

 これはもう話にならないですよね。自分の目で見て、自分で考えて、自分で判断を下す。これはプロの運用者目指すなら基本中の基本です。「上がる銘柄教えて」「この銘柄は買い(売り)?」というのを他人の判断を教えてもらってポジション取るのはあくまでも一般の方がやるべきことであり、それは自分自身で判断を下すだけの知識や経験がない前提のうえで、専門家として信頼できる人の意見やアドバイスを尊重するという行為です。

 もしプロの運用者になりたいのなら、自分の目で見たものを、自分で分析・思考して、自分で判断する。これはプロとしては当然のことです。それが優れていると信頼してもらえるからこそお金を預けていただけるのですから。

 もちろん他人の意見や考えを聞くなということではありません。逆にそれはぜひ聞くべきものです。一人ぼっちの世界で孤独にマーケットと向き合っていると、視野狭窄に陥り、自己満足、自己肯定バイアスの塊になってしまうこともありがちは話です。異なる意見、異なる視点をもった運用者達と意見を交わしたりすることで、視野が広がったり、気づきを得たり、自分の状態を他者の視点から見ることができたりもする。またそこまで詳しくない人の意見であっても、大衆の思考がどうなっているかなどを知る機会にもなりえます。他者とのコミュニケーションをおろそかにせず、アンテナを張っておくことは大事なことです。

 しかし、投資判断そのものを他者に依存する人はやめたほうがいいでしょう。そんな運用やっている限り、いつまで経っても自分の運用スキルは向上しません。基礎知識がない間は、メディアなどを通じて学ぶことも多いかもしれません。でもいずれはそういったメディアの記者やコメンテーターの方から意見を求められるような存在になってこそプロだということです。


②自分の都合でリスクを振り回す人

 こういう人はぜひ自分のお金でやってください。会社のお金や投資家からお預かりした大切な資産を元手にギャンブルすんな!と思います。

 「株(相場)はギャンブル」と昔はよく言われました。はっきり言いますが、株をギャンブルにしているのはあなた自身です。相場も賭場も勝ち負けのある世界という意味では共通です。確かに相場においては、どんなにしっかりと情報収集や分析が出来ていても、負けることもあります。それでもしっかりとした分析を元にリスクとリターンを適切にコントロールし、合理性、再現性を持った取引を続けていければ、それは「ギャンブル」ではなく「運用」になります。

 「損を取り返したい」「負けを認めたくない」「もっと大きく稼ぎたい」…全部自分の都合です。

 そんな自分の都合でリスクを振り回す。マーケットはあなたの都合では動きません。マーケットから見れば、あなたの都合なんでどうでもいいことだし、誰もそんなこと気にしていませんから。

 マーケットを客観視することを忘れ、自分の都合でリスクを振り回してしまう。これはある程度経験を積んだ人でも陥ることがあります。人間ですからね、感情はあります。慢心や焦り、悔しいとか、頭にきたとか…。でもマーケットと向き合うとき、それを極力切り離して、本当にマーケットがリスクを取るべき局面なのか、そのリスク(ポジション)には合理性はあるのか?常にマーケットと自分自身を客観視するスタンスが大切になります。

 沢山の運用者を見てきた中で、ごくわずかではありますが、とんでもないなと思う人もいました。損がかさんで追い込まれる→一発逆転狙いで博打のようなリスクを取り、許容された損失限度額を大幅に超過するようなヤラレを出す。そういう人には絶対に他人のお金で運用はやってほしくないと思います。

 他人のお金を預かる運用者としてのモラル、矜持って最低限守らなきゃいけないラインがあると自分は思っています。

 その行為は他人のお金使って、自分が生き残りたいがゆえにギャンブルをやった。しかも守らなければいけないリスクの限界をコントロール不可能な状態になることが明らかなのにそれをする。それはプロの運用者としては絶対に許されない行為です。

 ギャンブルやって、負けが続いて、取り返したいから掛け金増やし続けているのと同じですよね。

 もしそんなリスクの取り方して、たまたま救われたとしても、そういう人はまた繰り返します。そしていつか全部を失う。万が一、そのとき大きな金額預けていたらとんでもないことになりかねない。
 それが出来てしまう人だからこそ、基本的に相場を主観で見てしまって、確率の高い運用が出来ず、追い込まれていったのでしょうが。苦しいとき、追い込まれたときほど、運用者の本質が見えてきます。精神的に余裕がなくなるからこそ、その人の弱点はモロに出てくる。自分の都合でリスクを振り回す傾向がある人。こんな人にはお金を預けたくはないと思います。


③意欲のない人

 そもそも…ですよね。常に相場は変化するし、経済は動き、企業は成長もする。探求心や銘柄研究への意欲、モチベーションは全ての基礎です。座っていれば誰かが教えてくれるという受け身な人、相場で起きていることへの興味や違和感、ニュース、新聞で書かれていることへの興味、分からないことを知ろうとする意欲。

 それが欠けている人、受け身でしか仕事しようとしない人、自分の可能性に貪欲になれない人…は難しいと思います。

 自分の後輩達でも成功する人は基本的に貪欲なほどに意欲的な人たちでした。欲が強いからこそ、時として我儘に見られたり、要求が多いと煙たがられがちでしたが、彼らの多くは成長のため、成功のために欲があるから主張する。上司としては困ることも多かったですが、それ以上にワクワクもさせてくれる。


④(若手のうちに)プライドが高すぎる人

 プライドが高すぎる人って損してると思います。もちろんそれだけの実績や何かを成しえた人がプライド持つのは立派なことです。ただ若手と言われるような段階や、明らかに知識や経験が少ないのにプライド持っちゃってる人は、成長の速度が明らかに劣る。

 知らないことを知ったかぶりする。分からないのに分かっているような顔をする。

 せっかく新しい知識を得るチャンスなのに、そんなことで知ったかぶりをすることでそのチャンスを失い損をする。マーケットというとんでもなくデカイ世界で戦ってるんです。自分達なんてどんなに頑張ってもちっぽけな存在に過ぎない。知らないこと、分からないことなんて世の中に沢山あるのが当たり前です。

 プライドが高すぎる人は、学ぶ機会や成長する機会を失うだけではなく、損を受け止められない、負けを認められない傾向も強いです。終いには「相場がおかしい、間違ってる」と言い出す人もいます。

 いやいや実際に相場がそう動いている以上、そうなっている理由がどこかにあるはず。自分の主観や経験からみれば「おかしい」と感じるのは分かりますが、相場が間違うことはないんです。相場が常に正しい。ただ相場は常に合理的なわけではなく、時として非合理的な動きをすることもあるというだけのことです。

 プライド振りかざしてリスクを振り回す人は②の状態にも陥りやすい。なんでそんなに偉そうにする必要あるんだろ?とは思いますね。

「無知の知」「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」

 若手には特にこの言葉を胸に留めておいてほしいと思います。
 いい年こいたこのおっさんでも、自分よりも明らかに若い人たちに教えてくださいって全然やってます。自分がやったことがないことをやらなければならないとき、知っている人、経験している人に教えを請わなければ先には進めませんから。

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