【マーケット】驚きのニュース…コンプライアンスの大切さ | しがないディーラー

ちょっと驚くような報道、記事が続きました。




市場を運営する側、監督・規制する側、加えて法律の専門家にインサイダー容疑がかけられている。

我々、規制下で監督される側から見れば、とても驚きだし、残念な報道でした。

どちらにも熱意をもって、公正に市場を運営し、監督し、よくしていこうという方々も沢山いらっしゃることも知っていますし、知人も少なくありません。

金融機関でこういったことをすれば課徴金やら、業務停止処分やらを受けることになり、実際にそれが原因で閉鎖に追い込まれる会社などもいくつか見てきました。

インサイダー取引に課せられる課徴金・罰則とは?実際の処分例を紹介

当事者が、取引所や金融庁に属していた場合はどうなるんでしょうか?

私も40人前後のディーラーを抱える部門の責任者をしていた時期もあります。
管理のスタッフもある程度の人員を配し、彼らのサポートを得て不正防止に努めてはいましたが、人数が多ければどうしてもモラルの高い人もいれば、低い人もいる。何度も指導しないといけないディーラーもいました。

たった一人のモラルが低い人間の行為によって組織が大きなダメージを受け、ちゃんとやっている人たちが傷つく。
その行為によって取り返しのつかない事態になったり、所属している人たちの未来が変わってしまうこともある。

他社の事例でもそれを目の当たりにしてきました。
そういった処分の余波でその会社では部門閉鎖になり、巻き込まれてしまった後輩達もいました。

ヘッジファンド(特に海外籍)などでも、コンプライアンスオフィサーはいるけれど、その人はシンガポールや香港、ケイマンのレギュレーションなどには精通していても、東証のルールを知らない場合も少なくない。
過去の事例を見ても、所属国の法規制違反で躓いたファンドより、マーケットのコンプライアンス違反(作為的相場形成、相場操縦、インサイダー…)で処分を受け、稼ぐ力があるのに閉鎖や大幅な縮小に追い込まれてしまったところの方が多い印象があります。

実際に、社内でコンプライアンス研修や勉強会を開くと、大概のディーラーは面倒くさいと思うでしょうし、ほとんど自らは興味も持ってはくれません。なので強制参加でしたけど…w

市場にはルールがあり、守らなければならないことがある。
それに違反すれば、取り返しのつかない事態になり、自分自身の運用者人生だけではなく(個人であれば自分だけだと思うかもしれませんが、取り次いだブローカーにも受託者責任はある)、近くにいる仲間や友人、多くの人の未来さえ変えてしまうこともある。

この二つのニュースは、ちょっと驚きと失望を禁じえませんでした。
これを他人事だと流してしまわずに、市場に参加している以上、そのルールを知っておくこと、守ることの大切さを振り返るいい機会かもしれません。

ブログ一覧に戻る