今週になってテクニカル重視派からよく聞く声が、
「石油関連のチャートが劇的に悪化した」
日本国内の円建て銘柄に限らず、国際的指標となるNY、ロンドン、ドバイの原油も同様のようです。
ファンダメンタルの面から見ますと、すでに先週から兆候がありました。
さて、今年の夏から9月上旬にかけて中東・北アフリカでは様々な騒乱がありました。
トルコ、エジプト、シリア・・・
シリアでの化学兵器使用疑惑は、米国ほか西側諸国の軍事介入を招きそうでしたが、発動の寸前でオバマ大統領の判断で回避されたのは記憶に新しいところです。
10月の米国での財政協議による不毛な政争を見るに、米国もシリアへの軍事攻撃は財政面から見てあまり乗り気ではなかったのではないでしょうか?
それはともかくとして、このシリア攻撃回避がクライマックスとなり、その後は中東エリアは沈静化に向かっています(本質的な解決はまだまだ。火種はくすぶっていますが・・・)。
“リスクプレミアム”がオンされていた原油価格も、ここが天井となっています。
上記3国のほかに中東で「台風の目」となるのがイランです。
核開発を強引に進行させ、国際社会から経済封鎖を現在も受けています。
イランの指導部は核開発の継続を望んでいるのでしょうが、経済封鎖はイラン経済を締め上げており、それが国民の不満を高めています。
いかに強大な権力を掌握しているとは言え、国民の不満を無視または軽視はできません。
上記3国の事例はもちろんのこと、“アラブの春”と呼ばれる一連の政変をイランの指導部も注視していたはずです。
カダフィ大佐やムバラク大統領の轍を踏むことはできないはずです。
イランは核開発については態度を急速に軟化させています。
以前にホルムズ海峡封鎖などの恫喝をおこなった同じ国とは思えぬほどです。
そのイランは産油国としても世界で大きな地歩を持っています。
OPEC内に限れば第2位の産出量。全世界でも第5位の産出量を誇ります。
ところがその豊富な原油も、経済封鎖によって輸出がストップしており、それが反映されているのが現在の原油価格です。
もし、イランの態度がさらに軟化し、経済封鎖が解除され、世界第5位の実力のイランが石油マーケットに復帰してきたら?
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの世界商品調査担当責任者、フランシスコ・ブランチ氏のコメントです。
「原油価格は最大10%下落する可能性がある」