【5月20日海外市況】
*週明け20日のニューヨーク外国為替市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を背景とした米長期金利の上昇で円売り・ドル買いが優勢となり、1ドル=156円台前半に上昇した。156円22~32銭。アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は20日、米インフレ率の道のりがFRBの目標である2%に向かっていると確信するまでは時間がかかるとの考えを示唆した。前週の米消費者物価指数(CPI)鈍化をきっかけに高まっていた米利下げ期待がやや後退し、米長期金利が上昇。日米金利差拡大の観点から円売り・ドル買いが先行した。また、FRBのジェファーソン副議長は20日にインフレ鈍化の進展停滞が長く続くか判断するのは時期尚早と強調し、米利下げをめぐっても慎重な見方を示した。
*週明け20日のニューヨーク株式相場は、先週終盤の上昇を受け利益確定の売りが優勢となり、反落した。ダウ工業株30種平均は前週末終値比196.82ドル安の3万9806.77ドル。ナスダック総合指数は108.90ポイント高の1万6794.87と史上最高値を更新した。先週終盤に初めて4万ドル台を突破したダウ平均はこの日、利食い売りが広がりマイナス圏に沈んだ。米金融大手JPモルガン・チェースは自社株買いを行わない方針を示したことが投資家に嫌気され、大幅に下落。米長期金利の上昇も相場の重荷となった。
*週明け20日のNY金相場は、中東情勢の緊迫化を背景に安全資産としての金に注目が集まる中を、続伸した。前週末比21.10ドル(0.87%)高の1オンス=2438.50ドルとなり、史上最高値を更新した。イランのライシ大統領やアブドラヒアン外相らを乗せたヘリコプターが19日、同国北西部の東アゼルバイジャン州の山間部に墜落し、ライシ師ら搭乗者全員が死亡した。現職の大統領が事故死する異例の事態の中、市場では中東地域における不透明感が広がり、リスク回避として金を買い進める動きが目立った。
金ETF、838.54トン(変わらず)。
*NY白金は8日ぶり反落。前週末比26.30ドル(2.41%)安の1オンス=1063.70ドル。
パラジウムは続伸。前週末比20.80ドル(2.06%)高の1031.60ドル。
*週明け20日のNY原油は、米連邦準備制度理事会(FRB)高官による利下げ開始に対する慎重な発言が相次ぐ中、4営業日ぶりに反落した。前週末比0.26ドル(0.32%)安の1バレル=79.80ドル。バーFRB副議長は20日の講演で、1~3月期のインフレ動向について「利下げを支援するような確信増大をもたらさなかった」と述べた上で、時間をかけて景気抑制的な政策を機能させる必要性を強調した。ジェファーソンFRB副議長は、FRBが物価目標2%に低下する一段の確信を得られるまで「利下げが適切とは考えない」との見解を改めて表明。政策転換に消極的なFRB高官らの発言を受けて、市場の9月利下げ期待が幾分後退し、金利据え置きの長期化で景気減速やエネルギー需要の鈍化を招くとの懸念が台頭。相場は一時80ドル台を回復する場面もあったが、売り圧力が優勢だった。イラン北西部でライシ大統領やアブドラヒアン外相らを乗せたヘリコプターが19日不時着した事故で、イラン国営メディアはライシ師やアブドラヒアン氏が死亡したと報道。これに対して、イランと激しい対立関係にあるイスラエルは、イランの政策に大きな変化はないと受け止めた。
*シカゴトウモロコシは5日ぶり反発。前週末比8.00セント(1.77%)高の1ブッシェル=460.50セント。作付けシーズンさなかの米産地で好ましくない雨天への懸念が台頭していることが相場を支援した。米農務省が20日夕に発表するクロップ・プログレスについて、19日時点での米国産トウモロコシの作付け進捗率は68%と予想されている。
シカゴ大豆は3日続伸。前週末比20.00セント(1.63%)高の1ブッシェル=1248.00セント。世界の主要大豆輸出国であるブラジルを襲った洪水が、引き続き生産高減少への懸念を強めた。黒海地方での作物の生育に好ましくない天候への懸念や、米産地での作付けの遅れも穀物相場の支援材料になった。
【21日】
09:30 (豪) 5月 ウエストパック消費者信頼感指数 82.4
10:30 (豪) 豪準備銀行(中央銀行)金融政策会合議事要旨公表
17:00 (欧) 3月 経常収支(季調済) 295億ユーロ
17:00 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁発言
18:00 (欧) 3月 建設支出 [前年同月比] -0.4%
18:00 (欧) 3月 貿易収支(季調済) 179億ユーロ
21:30 (加) 4月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比] 2.9% 2.7%
26:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁発言