【5月16日海外市況】
*16日のニューヨーク外国為替市場では、米雇用情勢の底堅さを示す指標の発表を背景に円売り・ドル買いが先行し、1ドル=155円台前半に上昇した。155円35~45銭。米労働省が朝方発表した新規の失業保険申請が前週比1万件減の22万2000件と3週ぶりに改善したことを受け、米長期金利が上昇。直後に円を売りドルを買う動きが加速して155円50銭台まで上昇し、終盤まで155円10銭台~40銭台の狭いレンジで推移した。米連邦準備制度理事会(FRB)の高官から、利下げ開始にはインフレ鈍化の兆候をさらに確認する必要があるといった内容の発言が相次いだことも米長期金利の上昇につながった。
*16日のニューヨーク株式相場は、最近の上伸を受けた利益確定の売りが優勢となり反落した。ダウ工業株30種平均は前日終値比38.62ドル安の3万9869.38ドル。一時、初めて4万ドルの大台に乗せた。ナスダック総合指数は44.07ポイント安の1万6698.32。15日に明らかにされた注目の米消費者物価指数(CPI)でインフレの減速が示されたのを受け、米利下げ期待が高まり、同日のダウ平均は上伸、4万ドルに迫った。この日も15日の地合いを引き継ぎ、取引序盤から強含みに推移。インフレ抑制と成長実現を両立する景気の「軟着陸」見通しが強まり、午前に重要な節目となる4万ドル台に到達した。朝方に好決算を公表した米小売り大手ウォルマートに買いが膨らみ、その後もダウは底堅い値動きを維持。ただ、5月に入って8営業日続伸し、今月の上げ幅が前日までに計2000ドルを超えたこともあり、利益確定の売りに押されやすかった。
*16日のNY金相場は、対ユーロでのドル高に押され、3日ぶりに反落した。前日比9.40ドル(0.39%)安の1オンス=2385.50ドル。この日の外国為替市場では対ユーロでドル買いが優勢となり、ドル建て金の割高感につながった。また、前日に約1カ月ぶりの高値を付けたこともあり、利益確定売りも台頭したもよう。一方、ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は、米消費者物価指数(CPI)などの鈍化について「全体的な傾向としてはかなり良いだろう」としたものの、すぐに利下げするには十分な結果ではないとの認識を示した。さらにミネアポリス連邦準備銀行のカシュカリ総裁は、基調的なインフレの動向を見極めるまで、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を現行水準で「より長期に、しばらくは維持する必要がある」と発言し、早期利下げに対して消極的な姿勢を見せた。利回りを生まない金にとって高金利環境はマイナス要因となることから、FRB高官らの発言を弱材料と受け止める向きもあった。
金ETF、833.36トン(変わらず)
*NY白金は6日続伸。前日比1.20ドル(0.11%)高の1オンス=1071.30ドル、2023年5月下旬以来約1年ぶりの高値を更新した。パラジウムは3日ぶりに反落。前日比16.60ドル(1.64%)安の998.40ドル。
*16日のNY原油は、年内利下げ開始への期待を追い風に買いが入り、続伸した。前日比0.60ドル(0.76%)高の1バレル=79.23ドル。週間新規失業保険申請件数は3週ぶりに減少。しかし、市場予想に近い水準となり、前日の消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化をきっかけとした年内の利下げ開始期待が持続した。政策金利の引き下げは、景気を刺激するとともに、ドルの上昇を抑え、ドル建て原油の割安感につながる可能性がある。このほか、イスラエルとイスラム組織ハマスの休戦交渉が行き詰まり、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファでの地上戦が激化するとの警戒感も加わり、相場は午前に一時80ドルの節目回復に迫った。しかし、その後は根強い需要減退懸念が重しとなり、相場は小幅に上値を削った。国際エネルギー機関(IEA)が15日公表の月報で、今年の石油需要の伸び予測を下方修正した。
*シカゴトウモロコシは3日続落。前日比5.50セント(1.19%)安の1ブッシェル=457.00セント。米中西部の一部地域での降雨を受け、トウモロコシの作付け作業が遅延した。
シカゴ大豆は3日ぶり反発。前日比2.75セント(0.23%)高の1ブッシェル=1216.25セント。ブラジルやアルゼンチンでの大豆生産高減少の懸念が、統計で示唆された米国産大豆の弱い需要を打ち消した。
【17日】
11:00 (中) 4月 小売売上高 [前年同月比] 3.1%
11:00 (中) 4月 鉱工業生産 [前年同月比] 4.5%
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数(HICP、改定値) [前年同月比] 2.4% 2.4%
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数(HICPコア指数、改定値) [前年同月比] 2.7% 2.7%
23:00 (米) 4月 景気先行指標総合指数 [前月比] -0.3% -0.3%