兼業投資家の強み | 株式投資「虎の穴」

本業をもちながらトレードする兼業投資家は、「休むことができる」のが最大の武器です。

積極的に「トレードしよう」「利益を狙おう」と考えているのに、「休む」「やらない」なんて真逆の行動を想像するのは、心理的に難しいことです。
でも、「休む」という行動は、資金稼働率を抑えて現金比率を高める、状況に応じてポジションサイズを調整する、といった柔軟な対応につながります。
とても重要なことです。

折にふれて「自分は兼業投資家。休むことができるんだ」と明確な言葉を“声に出す”くらいの感じでガッツリ考えるべきです。
こうした習慣によって、「休む」とか「大幅にポジションを減らして“つくり直す”」といったことを「行動の選択肢」にするのです。いざというときに迷わず発動できるよう、イメージトレーニングしておくのです。

想像だけなら、自分の頭の中で進められます。
最終的に実行するかどうかはさておき、まずは「休むこと」を考えてみることで視野が広がるのは間違いありません。試してみてください。

とはいえ、利益になりそうな方法を選んで積極的に売買しようというのに「張らない」なんて、やっぱりキモチわるい……なので、ちょっと別の角度から考えてみましょう。

半年とか1年に期間を限定した、トレードコンテストというものがあります。
本来の「資産運用」とは趣が異なりますが、実際に資金を用意してリアルに売買を行い、パフォーマンスを競うのです。トレードを、スポーツの試合のような形式にしたものです。

こういったコンテストに、自分が参加することを想像してみてください。あなたが、参加者100人のうちの1人という状況です。

優勝する、あるいはトップ5に入るためには、積極的に行動しなければならないでしょう。偶然だろうが運だろうが、優秀な数字を叩き出す参加者がいるからです。

でも、ギリギリトップ10ならば、もしかしたら、期間中全く売買せずに利益ゼロ、損失ゼロの原点のままでも可能性があるように思うのです。

どういうことか──。
利益を得た人が「もっともっと」とムリして大きくヤラレる、損した人が「取り返そう」とムリしてさらにヤラレるのがマーケットの現実……だったら、利益も出ないかわりに損もない状態を維持するだけで「上位に食い込めるのではないか」という発想です。

この仮説を検証したわけではありませんが、かなりの数の業界人に話したところ全員が、「そうかもしれないね」と答えました。
私のおかしな発想は、少なくとも、相場に携わる人間の感覚と一致していました。

「休みを入れよう」「売買を抑えよう」なんてベクトルは、たとえ負けつづけている投資家でも「それじゃあ儲からない」とバッサリ。しかし、多くの人がそういう心理状態だからこそ価値があるのではないかという提案です。

株価のサイクルは意外と長く、例えば低位株投資のFAI投資法のルールは、「4~5年下げ」という文言から始まります。

銘柄や状況にもよりますが、最も大きな上げ下げは、下げ4~5年、底練り2~3年、上げが再び数年というところです(底練りが5年超におよぶケースも多々あります)。
でも、多くの投資家が目にするニュースは1日単位の解説なので、必要以上に短期の動きに目が向いている、なにかしら錯覚が生じていると考えていいはずです。

何を言いたいのかというと、「1年なんて、意外と短期間だ」という発想を受け入れてほしいのです。
ポジションを取るとき、できれば短い期間で利食いしたいと思いますが、期待通りに事が運ぶほうが少ないでしょう。
そして、ポジションを維持したまま、すぐに半年くらいが経過してしまうと思います。

1年間なにもせずに「来年チャンスはあるかな?」なんてノンビリな態度は、ほとんどの投資家が否定するでしょうが、兼業投資家にだけ許された姿勢なのです。

ムリして損をするくらいなら、なにもせずに1年間やり過ごしたほうがいい……職業トレーダーにはない貴重な選択肢です。
 

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