個別銘柄の売買を考える前に、どうしても「市場全体」を見ようとするでしょう。
株そのものの人気、市場のすう勢……たしかに見るべき点ですが、それよりも個別銘柄そのものの動きが極端に大きいことを意識するべきです。
一般的な市況解説のように、まずは日経平均の動き、それから個別の動きという順序には疑問が生じます。
「株が上がったか、下がったか」という強い情報が先にきてしまうからです。
実際に売買する銘柄の値動き、見込み通りに運んでいるか否か(予測とズレがあるか)を踏まえて、この先の自分自身の見込みはどうか……こんなデリケートな思考を展開するうえで、一般的な株に関する情報は“足かせ”というか“雑音”というか、ないほうがいいのです。
やはり、便利な分だけ焦点がぼやけるということでしょう。
誰だって独りだと不安なので、「みんなはどう思っているの?」「今日の動きには、どんな背景があったの?」と考えがちです。新聞でもネットでも、多数の投資家が読むものは、そんな不安に上手に応えています。便利すぎてしまうのです。
- 今日は上がったか下がったか
(日経平均の前日比) - その理由は何だったか
(誰もが共感しそうな大ざっぱな背景、取って付けたようなものが多い) - 個別に目立った値動き
(上記の日経平均の動向解説とは関係ない)
誰も見たことのない未来を当てる──そんなムチャな試みに正面から応えているようで、実は雑につくられた情報なのです。
そんな目線ではなく、時間の経過とともに変化する状況を見て、「どう対応するか」を考えなければなりません。
「中源線建玉法」も、強弱の判断をきっかけに行動し、その後の変化に対応するためのノウハウです。
いろいろな角度から、ちまたの「銘柄情報」を否定的に論じていますが、実は、条件が合えば成立するのです。
ファンドマネージャーの行動を想像してください。
広い範囲から投資先を探しますが、プロとして「狙い」はビシッと定まっています。
そのうえで、アナリストレポートなど「観点が常に同じ」情報を、コンスタントに入手しています。
個人投資家が、頻度や観点が定まらないまま銘柄情報を目にするのとは、全く異なる状況にあるのです。
うっかり多めに買ってしまって「どうしよう……」なんてことは、あり得ません。
このように、すべてが整っていると、「銘柄情報」がプラスに働きます。売買活動を混乱させる銘柄情報ではなく、売買活動を適切に前進させる要素となるのです。
彼らは銘柄情報を、大切かつ正しく扱います。
目新しいものに飛びついて、行動の方向性を変える存在ではないのです。
―3月19日のブログにつづく―