多くの個人投資家が、日替わりのニュースを気にします。
社会人として、オトナとして、「新しい情報はなに?」と気にかけるのは当然ですが、その情報をもとに相場を考えると、売買の内容も日替わりになってしまいます。
でも、例えば「中源線」という言葉があるだけで、手法をもとに考える、ひとつの基準を守る姿勢が生まれます。
中源線とは、林投資研究所オリジナルの手法です。
特別に意識しなくても、そういう大切な要素がそなわる、ということです。
「最初はイタリアンだったけど1年でやめた。中華も手がけたけど2年でやめた。去年は和食、今はうなぎ屋だ」
こんな人よりも、「焼き鳥を焼いて20年」なんて人のほうが当然、技術が高いと思いますよね。
積極的な社会人らしく情報を集めると、観点も判断基準もバラバラで、「最初はイタリアン」の人と同じで、変化の激しい状態、焦点が定まらない状態になってしまうのです。
たとえ手がける銘柄の範囲が広くても、手法を3つ持っていても、「これが専門だ」「この部分に自信がある」といった“軸”のようなものがクッキリしている人が、安定した成績を出しているはずです。
「専門は中源線だが、銘柄は週替わり……その都度、よさそうな転換をみせた銘柄を手がける」
こういう姿勢は、どうでしょう?
“亜流”として成立しそうですが、多くの困難があります。
発想が、日替わり的なのです。
また、手がける銘柄が多数に達しやすいので、資金管理が相当に難しいでしょう。
実験的にやってみるとしても、例えば「10銘柄を見ていて手がけるのは3銘柄以内」とか、専門の色彩を入れた絞り込みが必要だと考えます。
多くの人にわかりやすく「株式投資」という表現を私も使いますが、ウォーレン・バフェット氏のように鋭い目で企業や経営者を分析する以外は、マーケット価格を追う「投機」と認識するべきです。
うねり取り、中源線……数カ月単位の上げ下げを狙ってポジションを取るのは、まぎれもなく「投機」です。
上げを狙う買い戦略も、下げで利益を取るカラ売りも、ちがいはいっさいありません。
現金を増やすべくポジションを取る、マーケットの価格変動で損益が生じる、自分の意思でポジションを閉じる──カラ売りが特殊だと敬遠する要素は、どこにもありません。