株価の予測は、なかなか当たるものではありません。
チャートを見るときの観点、平たく言えば「当て方」はさまざまです。
ただ、何を持ち出しても“画期的に当たる”数式は見つかりません。
そのなかで、あえて「当たる」と呼べるものはあります。
ひとつは、一時的に機能する“法則”です。
株式市場における短期的な流行のようなもので、一定数以上の参加者が気づいた時点で消滅します。
もうひとつは、動きがおとなしい安値圏の観察です。
株価は、人気量が増加して上昇します。だから、高値圏に近づくほど荒い動きをみせ、「当てよう」と頑張っても、誰もが裏切られるというオチが待っています。
半面、安値圏というのは、いわば人気が離散した状態です。
だから、ノイズが少なく、チャートの形も整いやすいのです。
「下がって小動きになった。この煮詰まりのあとは上昇だ」
こんな確信に至ることは多いでしょう。
けっこう当たるといえるのですが、ところが、人気が離散しているだけに「動き出すまでに時間がかかる」ケースがあります。
結果として「ラクに当たる」とはいえないのです。
中源線について私は、「当てることを放棄している」と説明することがあります。
ピクッときた、上昇スタートかもしれない、では1単位買っておこう──素早く行動するのですが、いわゆる決め打ちの要素はありません。
こうして“お茶をにごす”ような行動、ゆらゆらの売買をひたすらつづけていくのが、相場という行為なのです。
下のチャートは、継続して売買している東邦チタニウム(5727)が、大きく値を飛ばしたときのものです。中源線のシグナルどおりに売買した結果、上げをしっかりと取りました。でも、中段以降の荒い動きに、キモチわるい状況があるのも当然です。
上げの途中、「1」で陰転しました。
すでにけっこう上昇したあとなので、「中源線の判断が当たる」と期待してドテン売りました。ところが、これがダマシでした。
でも、このダマシの陰転から再転換して2単位買い、上値を買う買い増しもシグナルに従って、6月前半の高値に向かう上げをバッチリ取ることができました。
この時点で、「1のダマシで買いポジションを利食いした」「1のダマシを取り返して十分なおつりがきた」と余裕が生まれたのですが、「高値で荒い動きがありそうだから休んでいよう」とは考えないものです。
私は、荒い動きを想定して株数を抑えながら、東邦チタニウムの売買を継続しました。
「2」の陰転で1単位カラ売りしましたが、増し玉は2,000円台前半に達したあとなので見送りました。「3」の陽転を迎えたので、この対応は正解でした。当たりました。
でも、直後に陰転です(4)。
再転換なので「2単位カラ売り」ですが、私は1単位にとどめました。
そのあとは3日連続の逆行(上昇)。
「カラ売りを1単位にとどめて正解」とうれしくなるのではなく、「中源線が振り回されつづけるのかもしれない」という感触しかありませんでした。
「当てることを放棄」なんてカッコいいことを述べましたが、現実はこんな感じです。