株式市場では日々、さまざまな銘柄に値動きがあります。
そのすべてが、“物理的には”取れる可能性のある変化です。
でも、「現実に取れる」値動きは、ほんの一部分です。
かなり絞り込んだ狭い範囲が、コントロールを維持できる領域、ちゃんとシゴトをこなせる“守備範囲”なのです。
こう考えて、守備範囲、やり方などについて、実用的な枠組みを設定しておきます。
これが、マーケットの競争に勝つための下地です。
新聞などのメディア、ツイッターなどのSNSで飛び交う雑多な情報を見て、「自分に必要なもの」だけを選別する目をもつことができるのです。
新聞などの「市況解説」について考えてみましょう。
彼らは、決して、読者である投資家をだまそうとしているわけではありません。
純粋に、情報を買ってほしいと考えて努力しています。
しかし、結果として“商業的ウソ”が発生します。
その日のマーケットに参加した人全員から意見を聞くことなどできませんが、日経平均が下げていれば「利食い売りで反落」なんて見出しを立てます。
「なぜ下がったか? わかるわけないでしょ」なんて本当のことを書いたら、誰も情報を買ってくれないのです。
株価がグイグイと上がる場面ではときどき、「持たざるリスク」という言葉を使います。
記事を読む個人投資家にはコンスタントに利益を上げる義務などなく、「持たざるリスク」が生じる理由はゼロです。カッコよく表現しているつもりかもしれませんが、一般投資家を意味なくあおる状況が生まれます。
大手メディアほど、より多くの人をターゲットにしないと成り立ちません。
一部の優秀な人たちではなく、なかなか勝つことのできない多くの投資家をターゲットにする結果、ハードルを下げた“カジュアル”な情報になるのが道理です。
その究極、というか典型が、『銘柄情報』です。
この銘柄がいいよ、上がるよ──実にカンタンで、実用性があるように見えますが、他人の情報すなわち“守備範囲”外のシロモノです。その予測が当たっても曲がっても、きちんと手仕舞いするコントロール力は生まれません。
「どれ」(どの銘柄がいいの?)ではなく、「どうする」(自分なりの確信をもって自発的に行動する)と考えるのが唯一、不要な情報に振り回されないための道なのです。