さて、11月20日のブログで述べた「サイクル」(中間結果→判断→対応)がいつまで続くのか──それを決めるのも、自分自身です。
この部分も、すごく重要なポイントです。
株価変動を見て「当たった」「曲がった」と気にするのは当然ですが、途中経過を見て対応するというサイクル、最終的に手仕舞いして終了するまでのサイクルをコントロールするのは、自分自身の行動だけです。
「サイクル」について、スポーツで考えてみましょう。
ゴルフは18ホールで1ラウンド、ボーリングならば10フレームで1ゲーム、マラソンは42.195キロメートルなどと、明確な「区切り」が存在します。
でもトレードは、それすらも自分で決めるのです。
遅くまで飲んで終電を逃したら、「タクシーで帰る」とか「駅の近くに泊まる」といった対応を思いつくでしょうが、時間軸を思いきり長くして「朝になれば、また電車が動くよね」というのもアリ! これがトレードの現実です。
ちなみに、計画的、戦略的に「朝を待つ」のではなく、なんとなく先送りしてしまった結果が、多くの人が抱えている塩漬け株です。
これは、自分自身の“ワンラウンド”を決められずにいる状態です。
塩漬けを始末できない自分を容認せず、猛省しなければならないのです。
計画なしの先送りは、何日もボーッと駅に座っているのと同じ状態ですから……。
中源線は、値動きによって機械的判断を下します。
期待と異なることもあるのですが、「居過ごして塩漬けができる」とか「放置して損が極端に膨らむ」といった悲劇はありません。
自動的に、戦略的な「区切り」が生まれるのです。
自由に考えて自分で決めなければいけない「対応」を、自分自身の手で適正にコントロールするために、「理想」とする予測を基準にします。
必然的に、「当てたい!」と思うのですが、当てようとすると混乱します。
さて、この部分が「最適な分散投資」の答えにつながります。
林投資研究所では、上場全銘柄の中源線シグナルを毎日更新するサービス「中源線シグナル配信」を行っています。その中で、旧東証一部に限定して、パフォーマンスが良好かつ安定している銘柄を「ユニバース」として選定し、約1年間のチャートまで表示できるようにしています。
「ユニバース」のチャートを見て、分散投資のバスケットをつくるための銘柄選びが可能なのですが、人間ですから「直近の1年で当たっているもの」という観点に偏りがちです。
これが「当てたい!」という心理、トレードの流れを壊してしまう思考なのです。
トレードで「理想」を定義するのは、当たり外れの波があることを前提に「対応」をコントロールするためです。それなのに、期待と異なる「ハズレ」はない、という前提にすり替わってしまうのです。
もし、同じような銘柄、例えば業種や業態が似ている銘柄を組み合わせると、当たり外れの波が同じになる可能性が高まります。連敗するケースが同時に発生して「もう、やってらんねぇ!」という状態になる危険性もある、ということです。
だから、安定を求めて行う分散投資で第一に考えるのは、「動きが異なる銘柄の組み合わせ」なのです。
なんとなくの感覚で「当たっている」ものを選ぶだけだと、常に「当たってくれ~」と願うばかりになりかねません。戦略的に銘柄を組み合わせ、落ち着いて見直しながら必要に応じて入れ替えを考えていくのが、私たちプレーヤーのシゴトです。
そのために、選ぶポイントを独自に設定するのは、トレードの実践で「予測」「中間の結果」「対応」という戦略的かつ計画的な行動と、全く同じなのです。