株価急落時、必ずと言っていいほど目にする言葉があります。
「落ちてくるナイフをつかむな」という相場格言です。
話題に上る理由はシンプルです。
多くの投資家が「これが最後の突っ込みだとしたら買いたい!」と思うからです。
しかし、待っていた急落ならば黙って買うだけなのに、話題にしたり議論に参加するのはなぜでしょう。
「買おうかな」と思う投資家の大半が、すでに買っていて引かされ、自ら設定した“枠”を超えてポジションを取ることを思いつき、当然のように決められずに迷っているからです。
こういった評価は、第三者だからできることで、当事者は気づきにくいことです。
盲点が生じないようにするには、行動の枠を小さめに設定することです。
トレードでは、命の次に大切なカネが増減するので、誰でも真剣です。
だから、情報を幅広く集めたり、いろいろな角度から考えたりと工夫するのです。
ただ、「よし売ろう」とか「買い注文を出すよ」という最終段階でいろいろ考えていると、これは実に不自由な状態です。
いや、念には念を入れて……と慎重なのは当然ですが、「買いだな」と思ってから「いや待てよ……信用の取組は?」なんて思い出したようにチェックする項目がいくつもあったら、いつまでたっても決まりません。複雑すぎます。
サッカーの選手が試合の途中で、「ドリブルをスムーズにするためには、リズムが○○で左足の体重のかけ方が○○で……」なんて考えているようなものです。
それは、練習中にやることでしょ!
緻密に考える作業は必要です。
いいかげんに売買する人が多すぎます。
ただし、手法の細部を詰めたり、あえてチマチマとした統計数値を気にしてみたりと、「事前に戦略そのものをじっくりと考える」ときの思考を、現場に持ち込んではいけないのです。
儲けるためにやるわけですし、「この戦略が機能するだろう」と確信して出動するのですから、勝って当たり前。でも、見込み違いも当たり前なんですよね。
この現実を受け入れることで、銘柄の選び方、ポジションサイズの決定も含めた資金管理の知恵など、実践的かつ実用的な作戦が浮かび上がるのですが、賢く計算しようとしても、うまくいかないことばかりなのです。
10月30日のブログで、詳しく説明します。
―つづく―