私たちは日常生活で、価格の交渉をすることができます。
「もう少し値引きしてもらえないかしら?」
「2つ買ったら安くなる?」
実際にするかどうかは人それぞれ、地域によっても温度差があるようですが、多くの場面で交渉が可能です。
ビジネスでは、取引先との相互繁栄、いわゆる「Win-Win」が前提ですが、積極的に交渉するケースもあります。
例えば……
「次の納期を希望通りにするから、今回はこの値段で買ってくださいよ」
「即決済するので、3%値引きしてもらえないでしょうか?」
では、株の売買はどうでしょうか。
「指し値」という制度があるので一見、一般的な商取引と同じように交渉が可能だと感じますが、それは錯覚です。
株式市場に特定の相手はなく、「不特定多数の参加者」が集まっている場なので、価格は常に“市場任せ”です。
指し値とは、“市場任せ”で決まっている価格の短期的なブレの範囲で値段を指定する行為で、一方的に意思表示しているだけなのです。
では、私たち投資家、トレーダーは、「安く買う」「高く売る」を実現するために、なにをするべきか──最も大切なのは売り買いの「タイミング」です。
チャートのタテ軸の「価格」とヨコ軸の「時間」、この2つの要素で「トレンド」を判断して行動を決するのです。
実際には、「タイミング」のほかに「数量のコントロール」がありますが、簡潔にするために単発の売り買いで考えます。
- 「上がると思う」から買う
- 「下がると思う」からカラ売りする
- 「確信がもてない」からなにもしない
これらを具体的な行動に移す際、どんな要素を考える必要があるのでしょうか。
- トレンドの「変化点」を、どう判断するか
- どんな「タイミング」で仕掛けるか
- トレンドがないと判断したら、建てずに待つ
- 「乗れたかどうか」を、どのように判断するか
- ダメだと判断する基準と「損切り」のタイミングは?
- 乗れたときに「待つ」こと
とりあえず思いつくことを並べましたが、実に多くのことを考えて、自ら決断しなければなりません。それが、ひたすらつづくのがトレードです。
なおかつ、トレード期間も数量の増減も、すべて自分の自由意思……無限の選択肢を抱えて前に進まなければならないのです。
「安く買う」「高く売る」というイメージに固執している余裕なんてないのです。
大きな波ならば、少しくらい高くても買う姿勢が求められます。
「交渉できる」という錯覚を完全にゼロにして、“市場任せ”の値動きに対する出処進退にエネルギーを集中させることが大切です。