出遅れ狙いのプラスとマイナス | 株式投資「虎の穴」

出遅れ狙いはド素人の戦略──こんな意見もあるようですが、そんなことはありません。
私も裁量の売買では、出遅れ狙いを基本と考えています。

出遅れ銘柄を狙って買う戦略について、プラスの面とマイナスの面を考えてみましょう。そして、中源線の売買における出遅れ狙いについても整理しておきましょう。

出遅れ銘柄とは、「安値圏で動きがない状態」と定義することができます。

人気化して荒っぽく上下している銘柄を「真空地帯」と称して、値ごろ感がつくりにくい、難しいと表現することがあります。
これに対して出遅れ株は、下がったあと「安いな」と感じられる水準で動きが小さくなっているので、値ごろを頼りに買いを決断しやすいのです。

また、動く(物色されて上昇する)前に仕込むことで、注目度が高まってから参戦するほかのマーケット参加者よりも“安く買うことができる”という点も挙げることができます。

さて、出遅れ狙いを簡潔に説明しましたが、「値ごろ感が頼りになる」「安く買える」ことで有利とは言いきれません。

動きがない、人気がついていない、だから「出遅れ」なのです。
 

「いつ動くかわからない」と否定的にみることもできます。
だから、「すでに人気化していて押しが浅い、そんな銘柄のほうが手堅い」といえる状況だってありますし、昨今の相場にはそんな傾向が認められます。

また、期待する気持ちもあるので、「手堅い」「放置しても安心」と楽観的に考えがちです。だから、ズルズルッと水準を下げてしまって本当はマズい状況でも、“一時撤退”の発想をもちにくいのです。

期待値をゼロにして、いや、あえてネガティブ思考を試みて、『出遅れ狙いは、見込み違いで投げるときの基準がけっこうハッキリしている』と考えるのが、現実的かつ実践的かもしれません。

こんな発想を忘れずに“ニュートラル”な捉え方をすると、「安く買う」部分が、期待どおり有利に働くはずです。

伝説のベースボールプレーヤー、ベイブ・ルースが、こんな言葉を残しています。
「ゴルフに逆転ホームランはない。ゲームの勝敗はほとんどが自滅によって決する」

野球とゴルフを比較する観点として今でも語られているようですが、ひたすら自分のボールを打っていくゴルフは、相場・トレードと似ていると思います。

  • 多くのチャンスを感じられる
  • でも、やってみると難しい
  • 絵に描いたような成功よりも、自滅の可能性が高い
  • コツコツと進んで自滅しなかったプレーヤーが勝者になる

プロゴルフのツアーでも、ガマン比べの優勝争いが演じられることが多々あります。
私たち観戦者は、カッコよく攻めるプロ選手の様子を思い浮かべますが、ゲームの性質そのものが「ピンチで堪え忍ぶ」ものです。

相場の業界でも、「まずは生き残ること」といわれます。
「生き残り」なんて言葉を使うと、多くの個人投資家には大げさに響き、「特別な効果を狙っている」と思われがちですが、自分への戒めも込めたプレーヤーの本音なのです。

こうした観点から、出遅れ狙いは手堅いなんて誤り、「この銘柄なら安全・安心なんてことはないよ」と、ワクワク感に乏しいながら大切なことを述べています。

―4月30日のブログにつづく―
 

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