個別銘柄を見よ | 株式投資「虎の穴」

ときどき「注意すべき点」として挙げていることですが、あらためて述べます。

投資情報の多くは、まず「その日の日経平均の動き」を示してスタートします。
個別銘柄よりも、「日経平均」という数字が前日比プラスかマイナスかが焦点です。

立会のない週末ならば、「日経平均が先週どう動いたか、来週はどうなるか」がテーマですね。

日経平均が大きく上がれば「値上がりしている銘柄が多い」といえますが、短期では、銘柄によって連動したりしなかったり……少なくとも、市況解説で取り上げる「1日」「1週間」程度では、日経平均の動きと個別銘柄の動きがリンクしているとは言いきれません。

市況解説は、執筆のための知識は豊富だけど、相場を張らない(立場上できない)経済記者が書く「読みもの」なのです。


だから、誰が読んでもスッキリするように「日経平均」を中心にするのですが、東証プライム市場について、仮に値下がり銘柄のほうが多くても、さらにTOPIX(東証株価指数)が前日比マイナスであっても、日経平均が前日より高ければ「○○で買われた」という論調の解説文が載ります。

「日経平均が○万○円台」「○年ぶりの高値」と書いてあれば「そうか!」と思うのですが、「どの銘柄を買うか」「どの銘柄を売るか」などの具体的な行動にはつながりません。
ついつい習慣で目を通すのですが、結論が出ずに混乱します。

正確に表現すると、求めていることや具体的な売買行動とズレていることに気づきにくいので、混乱していることを自覚しないまま情報を受け取ってしまうのです。

ここまで読んで「そうかなぁ……」と感じる人にとっては、「なぜそうなのか」が問題です。

「なるほど!」と思う人にとっても、「では、どうすればいいのか」が問題です。

個々の銘柄の動きを見るのは、実におもしろいことです。
でも、単純に楽しむだけでなく、「同じ株でも、ここまで動きが異なるんだ」といった観点も拾い、マーケットを観察するときのポイントとして大切にしてください。

個別銘柄を見よ──日経平均の水準が上がっても、それだけでは利益になりません。
売買対象の個別銘柄が変動し、それに対するポジション操作がうまくいって結果が出るのです。
当たり前のことですが、意識的に繰り返し確認すべきことだと思います。

相場を楽しくつづけるためには、一定の安定性が求められます。
プロと同じ土俵でハンディなしの勝負をするのですから、資金量を少なめにしたり売買頻度を下げるなどの工夫をしたうえで、現実の行動はプロと同じ、いやプロ以上にシッカリとしたものにしたいのです。

キーワードは「基準」です。
常に同じ基準、一定の基準を使うことです。

売買資金の多くが“塩漬け”として寝てしまうのが「相場あるある」です。

原因として、手仕舞いの基準があいまいなことが挙げられます。
しかし、その前に、仕掛ける基準が定まっていないことが多いはずです。

値動きがおもしろいと感じて短期勝負を仕掛けたり、企業の成長性や製品の将来性に期待して「株主になる」感覚で買ったり、身近な人が注目しているからと、なんとなく自分も乗ってみたり……ある程度の人生経験もあるし、対象となる銘柄数も多いので、つい手を広げすぎてしまうのが当然なのです。

「日経平均が○万○円台乗せ」と聞いて「おっ、そうか!」と過剰反応するのも、事前に基準を定めていないからだと説明できます。

情報はいくらでも入ってきます。

いろいろな観点について“要不要”を決めておけば、不要な情報に振り回されることも、必要な情報を見逃すこともありません。
これが、プロの姿勢、プロの視点です。
 

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