商品先物市場は、長年にわたって参加者が減りつづけています。
総合取引所となったJPX(日本取引所グループ)大阪取引所に貴金属とゴム、農産物の取引が移管されましたが、人気の回復は期待薄かもしれません。
しかし昔は、ドル/円相場が絡まない国内商品、例えば小豆などは、価格の上限と下限が想定しやすい売買対象として「花形銘柄」だったのです。
ある意味、現在の株式市場における「日経平均株価」のような存在でした。
ちなみに、価格の下限は生産者のコスト、上限は業者や消費者が買うギリギリ、と理解しておけば問題ありません。
例えばアンコを作るのに小豆を使いますが、価格が高騰したときはレンズ豆や白インゲン豆といった代用品もあるので、不作の場合も価格の高騰はある程度まで抑えられます。
それでも極端に高くなった場合、小豆を使った製品は価格上昇で流通量が減ります。
これに対して株価は、はっきり言って「いくらでもいい」のです。
株主や発行企業は値上がりを期待しますが、株そのものの人気、その銘柄の人気がなければ、実態よりも安い価格で取引されます。
逆に、それほどの内容がなくても、人気で高くなるケースは多々あります。
“国”がバックについていたJAL(日本航空)は、再建計画の中で既存株主の持ち分をゼロにしました。一方、東京電力は、2011年の原発事故で値下がりしたままですが、現在もマーケットで、まともな価格がついています。
どちらも特別な事例ですが、「株価の行方は本当にわからない」という事実を確認できます。
これら特殊なケースを除き、「会社がよくなる→株価上昇」「わるくなる→下落」という当然の変化を考えても、動きを予測するのは難しいものです。
悪材料によっては驚異的な下落率をみせることもあれば、業績の好転や将来性を買われて人気化したときは、50倍、100倍といった強烈な上昇率を記録することもあります。
派手な成功例ほど、印象の強い情報として伝わり、人々の記憶に残ります。
だから、初心者、株式市場に新規参加する人たちは、ウハウハの成功をイメージし、買った株が短期で「5倍」「10倍」になることを想像します。
―2月28日のブログにつづく―