中源線は、1月29日のブログで説明した「二度目のライン」を越えるまで増し玉をしません。
即座に建てた3分の1のポジション、つまり、試し玉だけの状態で動きを見守ります。
下に示す図のように、転換がダマシだったと判断するケースがあるからです。
このように、「二度目のライン」を越える前にズルズルと逆行した場合、またしても素早く陰陽(売り買い)をひっくり返します。
このルールも、中源線独自の考え方によるもので、「再転換」と呼びます。
被害は3分割の1単位のみで、最小限に抑えられます。
また、その際のドテンでは、いきなり3分の2(2単位)のポジションを取ります。「再転換した」「転換前のトレンドがつづいていたんだ」と考えるのです。
機敏な判断とともに、まさに「相場を張る感覚」がルール化されています。
ここが、中源線のおもしろい部分なのです。
私たち実践者が強く願うのは、相場の先行きを「当てる」ことです。
でも、市場に集まる売り買いで価格が動くので、売り買いする実践者自身の予測が高い確率で当たるなんて、どうしたってあり得ないことなのです。
だから、多くのプロが、「予測の的中率は50%前後がちょうどいい」と言います。
できないことに挑戦するのではなく、ポジション操作という「対応」で乗り越えようという“実用性”を重視し、手法のなかの「予測法」という要素にこだわりすぎない、という考え方です。
中源線も、この点を強く意識してルールを規定しています。
素早く判断して行動する一方で、3分割の慎重なポジション操作を行います。
「見込み違いでした」と認めて方向転換する際は心理的な抵抗を感じるので、確実に行動するためにルール化しているのです。
私たちが、なんらかの仕組みを構築する際、ミスがない完ぺきなものを目指します。
しかし、本当に100%うまくいくものなんて、つくることはできません。
だから、最初からミスを容認し、ミスが大きな被害にならないようにしたり、ミスに早く気づいて対処できる構造を工夫します。
こうした現実的な考え方を議論した結果、個々の判断基準をバランスよくまとめて体系立てたものが「中源線建玉法」です。
シンプルなルールは実践者の感覚で納得できるうえに、アレンジも容易です。
一般的な売買ツールとはちがい、ロジックをすべて公開しているからです。
中源線の基本ルールを解説し、「ルールを決めて臨む場合の現実」を掘り下げた一冊が、『中源線建玉法 基本と応用』です。
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中源線のアレンジは、実にやりがいのあるシゴトです。
3分割の売買ルールには、すでに「メリハリ」が盛り込まれているのですが、自らの感覚を盛り込む、「中源線に自分自身を入れる」行為は、さらにメリハリをつくろうとすることだからです。