私は、株式投資の初心者が本格的に売買を始める前に、必ず「練習売買」することを提案しています。
「やらなきゃわからない」ことがあるからです。
例えば、避難訓練。
災害など起こっていない状況で、避難経路を確認しながらのんびり歩きます。
「まだ歩くの~?」などとボヤきながら、緊張感なんてゼロ。
でも、その体験が、いざというときに役立ちます。
実際に避難経路をたどった経験によって、有事の際も「そうだ、この先を右に曲がるんだ」なんて落ち着いて考えることができるようになるのです。
慌てふためいて逆に進むといった、マズい状況になりにくいわけです。
では、「避難訓練」に相当するトレードの練習とは?
私がオススメするのは、数量を抑えた「単一銘柄」の売買です。
「どの銘柄がいいの?」というアイデアが、情報探しの迷走に直結します。
だから、銘柄探しの発想をゼロにするために、単一銘柄の売買が有効なのです。
銘柄がひとつしかない──この状況だと、「どんな動きを狙うか」「どのように決着をつけて利益を確保するか」という現実の売買、すなわち“対応”に目が向きます。
それを考えるしかない状況に、自分の身を置くということです。
泳ぎ方を本で勉強して、いきなり海に飛び込む人はいません。
新しい料理を考え、試作もなしにメニューに載せるシェフはいません。
どんな分野でも、どんなレベルでも、練習は不可欠です。
トレードにも練習が必要、練習する方法がある、ということを忘れないでください。
さて、先行きがわからない状態でも、確固たる予測を立てて行動を取る、その結果がどうであれ適切に対応する──私たちプレーヤーに求められることのすべてです。
つまり、あやふやな気持ちで行動してはいけないのです。
「どうかなぁ・・・」と感じながらポジションを取るのは、禁じ手なのです。
「わからない」「だから、やらない」という選択肢が重要です。
手を出さなかった結果、「なんだよ、買っていれば大儲けだった」なんて、タラレバを言ってはいけません。
相場の結果を振り返るとき、4つのパターンが考えられます。
やってみたら儲かった、やってみたら損した、見送って損を未然に防いだ、見送ったら儲けそこなった……確固たる意思があったならば、これら4つのパターンのどれでも「正解」なのです。
出動(仕掛け)から撤退(手仕舞い)までを、「自分でコントロールできているかどうか」がカギです。
このように考えていけば、私が提唱する「練習」の意味や効果も、納得してもらえるのではないでしょうか。