同じことを繰り返す美学 | 株式投資「虎の穴」

相場の状況は日々、異なる顔をみせます。

それに合わせるように、自分が変わることができるでしょうか。


同じ人間が完全な“日替わり”の対応をするなんて、非現実的なことです。

「自分が狙う値動きパターン」を決めて売買に臨み、それを軸に“日替わり”の変化にどう対応するか──こういった発想は不可欠です。

「基本路線」と「アレンジ」の関係やバランスについて、考えてみましょう。

投資情報番組「マーケット・スクランブル」では毎月、いつも同じ銘柄の「定点観測」を紹介しています。
その都度、投資家が“食いつく”話題を前面に出すと商業的にウケがいいのですが、そういった路線とは、むしろ逆の内容に仕上がります。

それに、個人的な強気の見通しを述べているのに、紹介する銘柄の値動きにワクワク感がない……なんてこともあります。

でも、一般的な“日替わり”情報とは一線を画した「定点観測」は、相場に携わる人間がとても大切にしていることです。実践家が講師を務めるスクールでは、定点観測を中心にしているところも数多くあるのです。

日経平均などの株価指数を見ることで、相場全体のすう勢がわかる、大きな流れを確認することができる──これが最大の勘違いです。

上がる銘柄がある一方で下がる銘柄があるのが、株式市場の変化です。

私たちプレーヤーが目を向けるべきものです。

上がる銘柄と下がる銘柄が相殺されてしまう「平均」には、大きな落とし穴があるのです。

めんどくさいと感じたら、3銘柄でも5銘柄でもいいです。
自分で選んだ個別銘柄の動きを継続的に観察する「定点観測」を、ぜひとも実践してみてください。
重要性を強調した「定点観測」は、プロが行う理想的な行動の一部分です。

どんな分野でもプロは、同じ基準でデータを捉え、同じ結果を出そうと努めます。
料理人なら、素材の質が変わっても同じ味、同じ食感の料理を仕上げようとします。

鉄道員は、どんな天候でもダイヤどおりに列車を運行しようと努力します。

ただ、相場の場合は、結果のブレが極端に大きいのです。
「3年間でプラスになっている」といった結果が、売買を評価する正しい視点なのでしょうが、直感的にはもっと短期間の結果が気になりますし、1回ごとの勝ち負けも心に影響します。

とはいえ、そんな直感だけで考えていると、商業的にうまく作っている日替わり情報に、まんまと引っかかってしまいます。

こうした心のブレは、経験豊富なプロでも、日常的な課題です。
だから、自分の基準にブレが生じたときのアジャスト(調整)を工夫します。

「中源線建玉法」のように数式を使うのは、「そもそも基準がブレないかたちを持つ」という発想によるものです。

その中源線の判定をもとに、「この転換は○○」とか、その時々の判断を下して売買を決めます。
中源線が「買い」なのにカラ売りすることはありませんが、最後は人間の判断なので、カチッとした答えを出す中源線がベースでも、人間の感覚を盛り込む余地は十分にあります。

料理人が「今日は少し塩を多めにしよう」と考えたり、鉄道員が天候の変化でオペレーションを工夫するのと同じ『プロの対応』を、自然に身につけるものだと自負しています。

 

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