私たちは、少なからず、成長したり進歩することを望んで活動しています。
知識、筋力、年収、人望……考えすぎると苦しい呪縛ですが、どうしたって後退よりは進歩です。
株を売買して「損したい」なんて人は、ゼッタイにいないでしょう。
進歩するためには、ゴール(目標)は高く設定するのが正解です。
すぐにできてしまうことではなく、今できていないことを「実現したい」と考えることで、「こんな現状では満足できないぞ」とエネルギーが湧くのです。
でも、株式市場では、うっかりはき違えてしまいます。
株価予想で「目標○○円」なんて表現があるからかもしれませんが、自分が努力して向上する際に目指すべき状態がゴール(目標)なのに、自分でコントロールできない株価について「目標」なんて……前提が誤っている状態になりやすいのです。
株価との対話(売買、ポジション操作)を、他人とのつき合いにたとえてみます。
株価変動の現実を考えると、相当に気まぐれで、わがままで、ふつうなら「こんなやつと遊んでいられるか!」と愛想を尽かすような相手です。
その相手の動きに合わせて、なんとか利益を出そうというのが、売買・トレードです。
そんなガマンを強いられるゲームなので、常識的な感覚で「ふつう」では、結果が出ないわけです。
だから、「半分」「50%」がキーワードなのです。
今さらこんな説教じみたことを述べているのは、こうした「資金管理」のあり方というのが、最も伝わりにくいテーマだからです。
低位株投資の「FAI投資法」は、下値不安がないと思える安値圏の銘柄に分散投資します。
俗にいう「割安株」を対象に、じっくりと資産を増やしていこうとする手法です。
派手に動いて話題に上った銘柄に目をつける多くの個人投資家とは一線を画する、とても手堅い方法です。
だから、FAIの資金管理では、「資金の8割まで買っていい」とされています。
でも、この8割(資金の2割は現金)というのは、瞬間最大風速の限界という意味です。
常に8割のポジションを抱えていたら、苦しくて仕方がありません。
やはり、「5割」を基準に考えて、やっと8割以内におさまるというのが実際です。
それなのに、説明を読んだ投資家(経験は十分)が、「わかりました! その2割の余裕資金は、『ここぞ!』というときに出動させるんですね」と高揚した様子で返してきたりするのです。
相手にしている株価変動は、前述したように、相当に気まぐれで、わがままです。
うまくいったり、いかなかったり……期待を抑えても、うまくいかないことのほうが多いくらいなので、のらりくらりとかわして生き残り、それこそ「ここぞ!」というときに冷静かつ余裕のある状態でいるために、「資金管理」はとても重要です。
でも、その重要性が最も伝わりにくいのです。
中源線でも、資金稼働率は「満玉で50%未満」と規定されています。
ここしばらくつづくグズグズした値動きでも、ストレスが最小限にとどまる設定を、どんなときでも維持するのが正解なのです。