タテ軸を見るな! | 株式投資「虎の穴」

株価変動は、“うねり”と呼ばれる適度な上げ下げあり、長く大きく上下するトレンドあり……。予測が難しいのは当然として、値動きに“ついていく”際の判断基準は「天底」ではなく、いわゆる「変化点」であるべきです。

「株で儲けるためには、安く買って高く売ることだ!」


実に当たり前の説明ですが、この言葉のイメージをそのまま行動に移そうとしてもダメです。「安く」「高く」の部分が、有効な実践にはつながらないからです。

例えば、300円ではいつくばっていた銘柄が600円になった……すでに倍化しているわけですが、「勢いがある」と判断して600円で買う戦略だって否定できません。

下げてから300円ではいつくばっている銘柄は下値不安がなく買い有利……これは正しい考え方ですが、「いつ動き出すかわからない」というリスク要因を考えることも大切なのです。

正しい実践のイメージは、誤解を恐れずに表現すると、次のような言葉になります。

「高く買い、さらに高値で売る」

「逆張りで買うのが美しい」という観念があり、暴落時には「落ちてくるナイフをつかむな」とか「あえてナイフをつかみにいく」などと議論が起こるようですが、実践的にはピントがズレている気がします。チャートの“タテ軸”だけに目が向いているからです。

私たち投資家はチャートを見ますが、タテ軸が価格、ヨコ軸が時間の経過、この2つの要素しかないのですから、2つを同等に扱って値動きを観察する、つまり「ヨコ軸を無視しない」姿勢が重要なのです。

「価格」と「時間」、これら2つの要素でトレンドを判断します。
「勢いがある」とか「緩やか」とか、「ジリ高から急騰へ変化しそうだ」などと観察するときも、2つの要素のバランスを見ています。



上の図は、値動きのイメージです。
下がって底を打ち、兆しの上げからビシッとした上昇トレンド、そして上げ止まって天井を形成、徐々に弱含んだあと下げトレンドに移行しています。

私が意識するのは、明らかに上げに移ったと思える「1」、下げトレンドに移行したとしか思えない「2」のポイントです。タテ軸だけに注目して「1」「2」それぞれの手前でポジションを取ろうとすると、意外と苦しいものです。

ほぼ最安値を買ったり、ほぼ最高値でカラ売りの仕掛けが成功しても、いざ思惑通りのトレンドがスタートしたときには精神的に疲弊していて、思ったほど値幅を取れずに降りてしまう……こんなことも“相場あるある”です。

もちろん、エントリーの価格を有利にする試み(買い値を安く、売り値を高く)は否定できません。むしろ、積極的に考えるべきことです。

でも、「以前に比べて安くなったから買い」「以前よりも高くなったからカラ売り」ではなく、「将来のトレンドが上下どちらか」を考えるのですから、エントリーのタイミングに関係なく、「1」や「2」の変化点(明らかに変わったと確認できるタイミング)を意識するのが正しいはずです。

次の図は、保合(もちあい、横ばいの動き)から上昇トレンド(実線)、あるいは下降トレンド(点線)に移行する値動きイメージです。



赤い丸印を通過したあとで、「上だ」「下だ」と判断して機敏に乗る、というのが基本のイメージです。

「天井」「底」といった観点が入り込む余地がなく、「今が割高か割安か」なんて、答えが出ないことを必死に考えるのもムダ……こんな思考を土台にして「変化点」に注目し、そのうえで「価格を有利にするために、どこまで先回りして行動を取ろうとするか」を考えるのが、実践者の正しい姿勢なのです。
 

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