【トレード】マーケットと向き合うということ③ | しがないディーラー

だいぶ前にこのブログでも、自分は現役の頃に「違和感」を大事にしていたと書いたことが何度かあると思います。

「違和感」

これって説明が難しいものなんですが…自分なりに整理してみます。

自分がこういう動きになると想定していたのにも関わらず、そうならない。
指数がこういう動きになったとき、どういったセクターや銘柄がどういった動きになる。
為替や金利がどう動く。
様々な予想を立てて、市場の動向を見極めながらポジションを取っていく。

しかし、どこかに想定とは違う動きがある。
そこから感じ取れるのが「違和感」。

とても時間をかけて、情報を収集し、分析し、思考し、判断してきた自分の相場見通し。
それとは異なる動きがどこかに発生しているときに感じ取れるもの。

「気持ち悪い動き」
「意味が分からない動き」

と感じる人もいるかもしれません。

現役のときに自分が大切にしていたのは、その「違和感」には逆らわないこと。

その理由が理解不能で、よく分からないときは「やらない」「いったん撤退する」「そういった動きをしているところには触らない」という選択をしていました。

それを「おかしいだろ」と決めつけて真っ向勝負してしまうのは、自分の思考が常に絶対正しいという前提に立ち、相場の動きに逆らうという行為に他なりません。

「自分は常に間違いを犯す」

ウォーレン・バフェットやレイ・ダリオといった偉人ですら、そう言っているんですから、自分たちのような存在が間違いを犯さないわけがない。
だからこそ理解できない動きが生じているとき、なんでそういった動きになっているのか、懸命に相場と向き合い、俯瞰し、思考を立て直す。
それまでの間、分かっていないときはやらないか、無理はせずにリスク量を落とす。
少なくとも勝負をするにせよ、負けを認めるべきポイントだけは明確にしたうえで勝負する。


自分が「違和感」を感じたときには、
なぜそういう動きになっているのか、改めて情報収集し、その動きを取れている他のディーラーや運用者と語り合い、その人の目線や思考から学ぶということを大事にしていました。
一人の世界で、独善的な思考に陥ることがないように、自分とは異なる視点をただ否定するのではなく、そういった意見に耳を傾ける。少なくともより多くの人がその思考に賛同しているからこそ、市場でそういう価格が形成されている以上、それを認め、それとは異なる自分の思考とすり合わせながら修正していくことも必要でしょう。

相場なんだから、間違えて当たり前だし、負けることがあっていい、損することがあるのは当たり前なんです。
でもそのときに致命傷にならないためには、自分が今の相場の動きを理解できていないことを自覚することがとても大事なんです。

それを教えてくれるのが「違和感」なんだと思います。

「相場がおかしい」
「なんか気持ち悪い動きをしている」
「業績やバリュエーションが機能していない」
「理屈で考えたらおかしな動きをしている」

そういうとき「理屈」で勝負したくなるのは理解できます。
ただ実施にそういう動きが市場で起きている以上、なぜそういった動きになっているのか、自分が腑に落ちるまでは無理はしない。
その動きの背景にあるものを理解できたうえで勝負するならそれもよし。
実際には相場のすべての動きを把握し、理解するなんてことは誰にもできません。
だからこそ自分なりに納得がいっている状況にあるとき、ある程度理解できているとき、自信があるときに勝負をする。

強弱のつけ方も大事になってきます。

我々が向き合う相手は相場(マーケット)です。
その畏怖すべきマーケットと対峙するとき、謙虚さを忘れたとき、怖さを忘れたとき、大きな失敗をしてしまう。

「違和感」≒「今の相場の動きが見えていない(そういう動きになる理由がわかっていない)」

その違和感はしっかりとマーケットと向き合って思考しているからこそ感じ取れるものです。
上っ面しか見ていない人には感じ取れない。
しっかりと情報収集、分析、思考ができていて、こういう状況のときはこうなるはずというシナリオまで組み立てられているからこそ感じ取れるものです。

その「違和感」を大切にすること。
少なくとも自分にとっては、その「違和感」が大きな損失を防いでくれたり、大きなリターンを得るきっかけを与えてくれたりしました。

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