値動きの質 | 林知之


うねり取り株式投資法 基本と実践

古典の価値、これからのマーケットでの利用法を現代風かつ実践的に解説。しっかり儲ける、うねり取りのバイブル!

発行 マイルストーンズ/発売 丸善出版 
2017年8月新刊

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ミサイルを撃ちまくる北朝鮮は、なにを目指しているか?
ミサイル発射のあと、リスクが高まる日本の通貨「円」が買われる理由は?
私は詳しくないので、元気に語る評論家諸氏の説明を探してほしいのですが、「為替変動を利用して北朝鮮が利益を上げている」という説は納得できます。

為替は、相場のなかで最も難しい──。
相場業界の定説です。
でも日本では、FX取引の人気が非常に高く、七不思議のひとつです。

以前の『研究部会報』に掲載した、YEN蔵こと田代岳氏の「相場師インタビュー」から引用します。

「為替には、上げ相場と下げ相場って概念もありませんね」
田代「為替は単なる交換比率です。よく金利差とか購買力平価を持ち出して解説されますが、ピタッとはまることはありません。株のほうが『企業の収益』という確固たる数字で考えることができる分、相場は相場として読めない部分はありますが、クリアーですよね。
林投資研究所『研究部会報』2013年9月号所載)

もっと別の観点で個別株を考えると、動きが読みにくい半面、参加者の“熱”が伝わってくる部分が面白いと思います。

安値で動かないときは「誰もいない」、動き出すと「新しい参加者が出現した」、動きが活発化すると「参戦者が増加した」、動きが荒くなると「遅れた人たちがガマンできずに買ってきた」……このように、参加者の“息づかい”が聞こえてくるような感覚になります。

そして、その感覚が、自分をコントロールするときの鍵です。
どうしたって、熱くなってしまう人たちと同じような感情をもちますから。

ちなみに、下げ相場をつくるのは売り方ではありません。
買っている参加者の“投げ”で、下げ相場が形成されます。

株価指数は、どうでしょうか?
日経225先物は、マーケットに“厚み”があります。
「流動性が高い」とも表現しますが、コンスタントに出来高があり、個別株のように“人気離散で小動き”なんて状況が少ないのです。

そのかわり、私を含めて個別株が好きな者にとっては、なんだか“無機質”な動きで、感覚で判断しようとすると戸惑う部分が大きいと思います。

「取引が常に活発」「業績変動といった不測の出来事がない」などの理由で“初心者向き”と説明する業者もいますが、値動きの「質」「特性」をよく考えて決めるべきです。

ふだん意識しない身近なものには、意外な季節的変動があります。

穀物は秋の収穫期に安く、先物市場の値動きもその通り。
秋はサンマが旬で、価格も安く脂が乗っておいしい!
中古のオートバイは寒い時期に安いけど、売る人も減って少し品薄。
引っ越し代金は、入学、就職、転勤の季節、3・4・8・9月が高い。
学習机を安く買うには、需要のピークが過ぎた3・4月か、在庫処分の5~8月。

プレーヤーとしては“目の前の動きに集中する”パワーが求められますが、
視野を広く、視点を高くする姿勢も大切だと思うのです。

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