9月2日放送のフォローアップ
林 知之 | 未分類


想定と現実

急落から約1カ月、もう落ち着いたという意見もあるが、決して慌てる必要もない。
あらためて、急落直後、そのあとの値動きと、現実の売買戦略を考えてみましょう。

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
円高でも買われる日本株~ここから狙いたい8銘柄

想定どおりに売買するべし

まずは、売買・トレードの原則論を述べました。

どんなときでも、「自分が想定していたとおりに売買する」ことがゼッタイです。
数字や数式で決めていたことでも、裁量売買のイメージで決めていたことでも、そのとおりにポジションを取らなければいけません。

直前で変更したら……臨機応変の域を出て、要するに「なんでもあり」になってしまいます。自分自身の手で、自分の売買をユルユルにしてしまうのです。

もしも実行(仕掛け)の直前で「大幅な変更が必要だ」と感じたら、どうするか──ポジションを取らず、戦略の見直しを行うしかありません。

売買・トレードは、ひとりですべてを行います。
プレーヤーである自分のほか、プレーヤーをチェックしたり励ますコーチ、全体の流れを確認する監督、等々、自分だけで数役をこなす器用な行動を求められます。意外と難しいことを、私たち個人投資家はやっているのです。

そのなかで、ちょっとでもユルいことを許したら、全体がユルユルになるのは必然。感じるまま、自由闊達(かったつ)に行動する部分は大切ですが、「枠」そのものをユルくしたら壊れてしまうのです。

急落は想定していたか

今回の急落は、想定できたでしょうか?

もちろん、常に強気と弱気がいます。
真剣に買う人と、確信をもって売る人がいるから、値段がついているのです。
だから、「やっぱり下げた」と思っているマーケット参加者はいます。
でも、これほどの急落、幅広い銘柄が売られる状況を予見した人はいないでしょう。

値動きの流れから、「こうした急落があり得る」と可能性を考えることはできたでしょう。
でも、その可能性を重視してポジションを動かす戦略が、現実的でしょうか?
そのとおりに売買して、安定した利益が出ると計算できるのでしょうか?

急落後の解説(単なる後講釈)で、「事前にわかっていたかも」と感じるだけです。
だから、「下げた!」「リバウンド狙いで買うか」と、急落で思いついた戦略を実行したら、前項で述べたようなユルユルな状況をつくり出してしまいます。

ましてや、急落で悪化したポジションを「救済しよう」と、その悪化したポジションを維持したまま新しいポジションをつくるなんて、やぶれかぶれの一手としかいえません。

8月のフォローアップでも述べた観点ですが、大切なことなので繰り返しました。
「行動の範囲を決める」という発想がない人は早い段階で大ケガをしてマーケットから退場、その発想が薄い人も、どこかで大ケガをするのです。

中源線の想定は?

中源線による個別銘柄の判断では、急落の前にけっこうな数の銘柄が陰転していた、と8月の放送やフォローアップでも報告しました。

やはり、数式による判定、機械的な判断に大きな価値があると再認識できました。

では、このあと目先の相場については、どうでしょうか?
急落からグッと戻った銘柄が多いのですが、そのまま落ち着いてくれて「あの下げはなんだったの?」とつぶやくような状況ならいいのですが、乱高下したら、価値ある数式だってうまく機能してくれないでしょう。

極端な値動きを想定していたら、ふだん利益を出すことができません。
中源線の転換も、基本の「普通転換」は、「下げ止まってピクついて初動」とか「上げ止まってモタモタして少し下げかける」といった変化によって判断しています。多くの実践者が納得できるような、“平時におけるトレンド転換”です。

人が介在する必要性

中源線は、ルールが極めてシンプルです。

発展形として、さまざまな数式を追加していくアレンジだって考えられますが、ルールがシンプルなので「感覚的に捉えることが可能」という点が、中源線の大きな特長です。

「ダマシが出やすい状況だ」と判断するのもラクだし、その判断をもとに裁量を加えることも容易なのです。

だから、ただ中源線のシグナルどおりに売買して「儲かった」「損した」と一喜一憂するのではなく、「売買の判断とは、どうあるべきか」という本質に、自然と目が向くのです。時間の経過とともに見識が深まり、技術が向上していくことが期待できるのです。

今回の急落を演じたのは、主にプログラム売買だと思います。
もちろん、個人の狼狽売りで突っ込みが発生した事例もあるでしょうが、“売りが売りを呼ぶ”極端な下げは、プログラム売買が主導したはずです。

あそこまで売りたたいて、果たして利益が出たのか……。
詳しいことはわかりませんが、そんなことまで考えてしまいます。

不本意な結果だったなら当然、プログラムの見直しをするでしょう。
生身の人間の考察をもとに、人間の手によって。

でも、私たちは、自分の大切なカネを動かしています。
不本意な結果が出る前に、自分の手で見直しをしたいのです。
だから、数式が有効といっても、複雑な構造で“ブラックボックス”的なものをつくり上げてしまったら、ツールとして問題あり、ということです。

つい何かに頼りたくなるのですが、いわゆる“打ち出の小槌”は存在しません。
現実的な範囲、自分がコントロールできる部分で工夫して、結果を求めるのが王道です。


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